今年一年を振り返って

On 2011年12月31日, in 雑感, by admin

 
 新聞では今年を振り返ったNEWSが特集されている。アラブの春から北朝鮮といったトップの移り変わり。またEUを始めとした経済問題、さらには震災やタイの水害などの自然災害と続く。メディアの特徴からか明るい話題を目にすることは少ない。自然災害は偶発的に起こったことだ。しかし結果は人災に近いのではないかと思っている。対応が変われば結果は自ずと変わったということだ。震災は結果として政治被害によるところが多いと思っている。

自らは、自然災害に遭遇していない。個人のいまの姿はすべてが過去の産物だ。この数日、来年の目標とそれを達成するための方法と行動について考えてきた。正月休みの間も引続き行なう予定だが、目指すこととの乖離は大きい。だが明らかに無理なことを望んでいるわけではない。求められる行動の質や量がこなせるように、少し自らが成長すれば達成可能範囲だ。やるべきことは戦略構築と実行・管理方法を考えることだ。10年後へのマイルストーン。必ず達したいと思う次第です。

今年も一年blogをお読み頂きありがとうございます。深く感謝申し上げます。この場で考察を述べさせて頂くことが、成長の機会であることは間違い有りません。これからも発信して参ります。ご意見などございましたらぜひお書き下さい。

 

田中角栄に今の日本を任せたい 角川SSC新書 (角川SSC新書)

最近は読むこともないが、一時期著者の作品はほぼ制覇した。作家で著者ほど政治家個人に踏み込んだ作品を読んだことがない。そんな著者だから書ける一冊だと思う。混沌した日本も田中角栄なら離陸できるのではないかという思いから、田中角栄に近い人物11人の証言を元に論じた一冊だ。

惨憺たる来年度予算からは展望は何も見えない。ハイエクは、政治家は次の選挙を考えながら政策を実行するから論理的ではないと論じている。また民衆もいまの権益を離したくはない。どちらも自然である。だから晴れ間が見えないのも当然のように感じる。

いまさら政策として掲げた“日本列島改造論”ではない。田中角栄から学ぶのは行政・役人とのコミュニケーションだろう。本書のなかで、鳩山邦夫は民主党のもとでの震災を“歴史的不運”とまで言う。また石原慎太郎都知事は“無知で未熟な連中が集まって、役人を使わない、何をうぬぼれているのか。役人の言うことを聞かないで『政治家で、政治家で』と役人を使わない。この事態になぜ、一番ノウハウを持っている事務次官会議をやらないのか。役人をいかに使うかが政治家の力量。いまだに事務次官会議を開かない、こんな政府は前代未聞だ』とまで言っている。

田中角栄は役人とのコミュニケーションに秀でた政治家だった。それは言霊があり自らの身を切っても尽くしたいと思われる人心掌握だろう。人心掌握なきリーダーのもとでは人が働くはずはない。田中角栄に可愛がられたという小沢一郎民主党元代表もとで前々回の参議院で過半数を取ったとき大連構想が持ち上がった。民主党政治家では政権担当能力に欠けるとの問題意識からだった。これは人心掌握のすべが無いことだったのかも知れない。まさにいま現実となっている。

本書からそうした問題が田中角栄というバイアスを通じてまざまざと現れてくる。震災後の対応に政治の誤りがあったことは間違いない。だがいまこの国が抱える問題はそうした政治家を生み出すシステムや投票者が真なる問題ではないのだろうか。たとえば失業問題がよくメディアで取り上げられる。これも年齢、経歴、学歴などのレイヤーで考えればずいぶんと違う。論文(中央大学 坂田氏)からもそれが明らかとなっている。またジェイミー・ダイモンJPモルガンCEOは本当の解決策は“教育”だという。こうしたことの解決策も“田中角栄”なら正面から説明がなされるように感じてならない。

震災復興需要があるとはいえこの国の20年間の平均GDP成長率は0.8%に過ぎない。それにも関わらず年金も含めて数パーセントの成長率を前提に予算組をする。経営ならばこんな予算を組む企業に融資をするはずはない。
自分なりの解決策を考えるときを迎えているように思う。読みやすくいろんなことを考えさせられる一冊だった。

 

日経おとなのOFF 1月号

On 2011年12月26日, in life Style, by admin

日経 おとなの OFF (オフ) 2012年 01月号 [雑誌]

副題は『2012年絶対に見逃せない至高の画家100人の名画』とある。美術館へ赴くこともままならない日が続いているのだが、計画的に日程に入れようと思い本書を購入した。わたしは絵がわかるわけではない。だが定期的に足を運ぶようにしている。それは創造性を磨くためだ。

いままで本物を見ることの大切さを色々なかたから教示されてきた。これからの経営で肝になるのは創造性であり目利き力だからだ。STOP&GOの意思決定は右脳的要素が強まったのではないかと感じている。左脳的作業が重要なのはいうまでもない。だが意外と社員に任せたりアウトソーシングができる。その最たるものが経理だろう。マーケティングもwebが軸となりデータ分析も容易になってきた。広告のあり方もずいぶんと変わった。

創造性を磨く勉強であればあまり興味がないかたも足を運べるのではないかと思う。本書は2012年の予定表が別冊で用意されており、使い勝手が良さそうだ。ぜひ一度お試しいだければと思う。

 

ソフトバンク 新30年ビジョン

ソフトバンク新30年ビジョン制作委員会が、2009年株主総会発表に向けて作ったこれから30年のビジョンと戦略を示した一冊だ。

40代をすぎれば定年や引退を少しずつ考えだす。ミドルエイジクライシスとも言える。定年であれば終える日はある程度予測がつく。必然的に一日の価値は高まってくる。ここでは本書の思考回路をもとに経営者の視点で考察をしてみたい。

本書で示したビジョンは未来予測などでなく“こうなる”と決めた強い意思のあらわれだ。京セラ・稲森会長ファーストリテイリング・柳井社長、日本電産・永守社長など成功企業の経営者の特徴には『決定までが難しく決定ができればあとは容易だ』という言葉が見え隠れする。ひとことで表せば“意思”ということになるのだろう。また決めたことは『できる』という自信とも言える。

本書は30年ビジョンでありいまの寿命では孫正義社長がそれを見れるかは危うい。本書では次のように意思決定を示した。

『孫正義は何を発明したか。たったひとつ挙げるならば、チップでもなく、ソフトでもなく“300年成長し続けるかも知れない組織構造を作った、発明した”と言われるようになりたい。息絶えない、進化し続ける、そういうグループ構造を、会社全体として初めて発明したと。そのために重要なのがこの“戦略シナジーグループ”です』
これは孫正義“DNA”を作ることにもつながる。いままでとは違いDNAをつくるという離れ業ではあるが実際の戦略はファーストリテイリングでも行われている。

こうした “意思決定”がなぜできるのかを自己の文脈に落としながら考察してみた。共通するのは成功体験と強い意思、さらには精緻な分析だと結論づけた。あまりにもあたり前すぎることなのだが、これが礎であることには間違いない。本書にはビジョン構築までの道のりが描写されている。ここから想像することは容易である。

成功の前提条件が“意思決定”であることを確認した一冊だった。

 

志高く  井上篤夫

On 2011年12月21日, in 経営者, by admin

志高く 孫正義正伝

ソフトバンク創業者・孫正義のこれまで綴った一冊だ。孫正義氏に関する本は何冊が読んだことがあるが改めて凄さを感じる。思いの強さとこの実行力は類稀な能力だと感じる。震災時の寄付、電力への行動力は常人ではないだろう。批判的に語る人もいる。しかし認めるべきは認めて良いのではないだろうか。

いまのNTTが独占していた電話事業を、第二電電を設立し大きくし価格を下げさせたのが京セラ稲森名誉会長だ。ネット社会をADSLにより価格を変えたのが孫正義氏だと思う。携帯電話についても同様のことが言える。社会のインフラをNTTから解放させたのがこの2人だ。12月21日東京電力はどうやら実質国有化(実際には銀行による融資)されることが公になった。金利リスクを考えれば電気料は値下がりする可能性は低くなったわけだ。この問題解決にも孫正義氏が関与するのかも知れない。

渋沢栄一は明治維新後に官僚を辞し将来の日本に必要な企業を数多く立ち上げた。稲森名誉会長と孫正義氏は規制に守られたインフラを解放する黒船のようなものなのかも知れない。なぜこれだけのことが“できるのか”興味がつきない。本書からわかったことは『ぼくにとって事業家とは、道路を作る、電力のネットワークを作る、社会のインフラそのものをつくること。つまり社会の枠組をかえることだ』と述べている。つまりこれが事業のビジョンなのだ。こうしたことを発想する経営者も数少ないだろう。また考えても実行した人は稲森名誉会長の他にいない。

だがなぜこれができるのか『思いの強さ』だけではかなうはずはない。経営を成り立たせなければならない。それがこの言葉に現れている。『ぼくは無鉄砲にいろんなことを、ある意味でドラスティック(大胆)に、リスキーなことをやっているように見られているかも知れないけど、どういう状況においても絶対に致命傷を追わないようにと耐えず心がけてきたんです』おそらく常人には理解することができない精緻な経営をやってきたのだろう。数百の企業経営“精緻に実行する”まさい神がかっているのではないかとさえ感じる。

そのすごさはボーダフォンの買収に現れている。推測するに2兆円の買収資金に対して1兆3000億の銀行融資を受けている。その借入金利が実質3~4%だという。買収時2006年の長期金利は2%を下回っている。金融も足元を見たように感じるがこれを超えて収益を上げ続けている。さらには2014年には実質負債をゼロにするという。

孫正義氏は自らの言葉で『なにごとも困難はあるものですよ。どんな一流のスポーツ選手でも、怪我をすることもある。しかしそれを乗り越えていける気力と底力、自信がある』こう語っている。
この意味する“信念・拘り・執念”とこれを支える絶対の自信が必要なのだと思う。また『艱難辛苦を乗り越える。これが人の器を大きくする』そう感じるのである。学ぶことが多い一冊だった

 

90年代の証言 小沢一郎

On 2011年12月20日, in 政治・経済, by admin

90年代の証言 小沢一郎 政権奪取論

本書は月刊誌「論座」にて政治家・官僚・財界人の中で90年代にキーパーソンであった人物が当時を語り検証したものである。本書副題は“政権奪取論”とある。政治家・小沢一郎の考えを改めたく読むことにした。実際には本書のほかに7冊程“小沢一郎”に関するものを読んだ。なかでもインタビューで語る本書は本音が引き出せているのではないかと感じられる。戦後に限れば、政治経済がこれほど長く混沌としている時期はないだろう。

すこしいまの日本を俯瞰して考えて見たい。最近日銀の方のお話を聞く機会を得た。10人に満たない勉強会であり本音を少し引き出さたかなと思っている。全般を通じて感じたのは「このままだともって数年」だということだ。ここで我々得た情報を政治家がわからないはずはない。多様な情報や事柄から判断選択をするにせよ時間がないことは承知しているはずである。

2013年は米露中韓の政権選択選挙がある。米国は財政赤字に悩まされ、中国は不動産不況と賃金高騰、インフレの3重苦に見舞われている。韓国は日本以上の就職難である。EUはギリシャ、イタリアは7%の金利を下回らない。7%の意味するところは10年で債務が倍に膨らむことにある。

日本の異常な低金利が半分のかりに3.5%にでもなったら消費税増税程度で追いつくのだろうか。この国はオリンパスのようなことをしていないのだろうか。菅政権で与謝野馨代議士が経済財政政策担当大臣となった。これは政治生命をかけ増税を実行しなければとの強い思い、執念なのだと思った。だが志半ばで職を辞すこととなる。癌は克服されたと思うが、命懸けの仕事だったに違いない。

このように日本だけでなく世界全体が揺らぎかねない状態にある。民主党政権の是非は歴史が語ることになる。だが後世から及第点を得るには「強いリーダーシップ」が求めることはいうまでもない。そのひとりに小沢一郎であることは疑いようないと思っている。すこし前置きがながくなったが本書から醸しだされる小沢一郎を紹介したいと思う。

政権交代可能な2大政党制必要だと小沢一郎は言い続けた。だが中長期的視点で判断選択ができる“考える力”がなければ2大政党など難しいとわたしは思っている。あえて“考える力”としたのは人の糧が国や地方自治体からのものであればリスクを取ることが自然と難しくなる。これは年金や助成金なども含まれる。そうした中での判断は限定合理性を伴ってしまう。小沢一郎はこうしたことを踏まえてなのか中選挙区制からいまの選挙制度に変えた理由について「政治家の意識改革」が必要だったという。さらに選択をせざる得ない小選挙区制を日本人の意識改革を第一歩にしたかったと述べている。そうであれば我々はまだ二歩目は踏み出せていないのだろうか。

 小沢一郎は農家の戸別補償や子ども手当など直接分配の政策を打ち出した。この背景には消費税増税がきっとあったのだと思う。TPPに異論を唱えてはいるがそれは選挙と関係するのだと思う。本書以外の本からこうした政策に異を唱えるとは考えづらいのである。

 自らの政策が可能となる体制構築をまず行いそのうえでとるべき政策を取るというのが本音ではないのかと想像している。

「日本国内においても、国際社会においても、多数決を否定したら民主主義はなりたたない。世の中に絶対の正義は存在しない以上、言い換えれば誰もが神様でなく、間違いを犯す可能性がある以上、みんなで決めてみんなで守る以外に方法はない」

 この『みんな』とは誰をさすのだろうか。国民ではなく代議士なのだろう。それでもこの難局を乗り切るには豪腕といわれようが強く引っ張るリーダーが必要なのだと思う。

 

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興味深い人物ではあったが経営に対する指針は存じ上げなかった。本書とはオフィス近くの古書店で出会った。全編を通じて“ここまでの人物だったのか”というのが実感だ。

経営者の本をいままでもずいぶんと読んできた。成功者に通うずること。それが成功要因だと考え雑誌などを含め100人以上はリサーチをした。成功者は学生時代などに生徒会や部活動、サークルなどでリーダーを経験している人物が過半数を占めるという事実も発見した。だがそれ以上にインタビューなどのリサーチもしたのだがお会いさせていた人物に共通しているのは【哲学】を持っていることだった。哲学を生きる指針と置き換えてもよい。

本書は若者に“仕事とは”について説いた書であり私などは枠組みから外れるのだが実に学ぶことが多かった。冒頭で福沢諭吉【心訓七則】から『世の中で一番楽しく立派なことは、一生貫く仕事を持つことである』『世の中で一番さびしいことは仕事のないことである』と2つの訓話を紹介し“生きるとは仕事を通してであり、確固たる仕事観を持つことが重要である”と述べる。この仕事観が哲学と結びつくのである。

『考え方×能力×熱意=人生・仕事の結果』という稲盛和夫会長の言葉を紹介している。仕事観は“考え方”を指す。私は考え方とは“自己理念”と捉えている。事業は利益がなければ継続できない。著者は論語を引用し次のように述べている。

『企業は正しいことを行わなければいけないのです…論語には「利を見ては義を思う」「君子は義にさとり小人は利にさとる」とあります。利益というものは大事だけれど、それは正しいことを行なった結果として出るものでなければならないのです』

あたり前のような言葉ではある。しかし“正しい”の解釈は多用だ。“世のため人のため”がここでの正しさである。よって“法”が経営の“正”であってはならないのだ。

こうした著者の思いを200ページ以上に渡って説き続ける。そこからは自らの足りなさを痛感せざるを得ない。生涯成長なんだろうと思いつつもあまりにも多い余白はどうしらた埋めることができるだろうか。安易な方法などあろうはずない。愚直に坦々と日々仕事に取組み少しずつでも埋めるほかないのだろう。

考えさせられる一冊だった。

 

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初版は2007年。あくまで企業サイトの視点ではあるが、フルスピードで進化するwebマーケティングだが原理原則が変わらないことは本書が明らかにしている。当社はwebを中心にマーケティング活動を行なっている。集客手段であるwebではあるがそこは企業アイデンティティを表示しているBAなである。

Web媒体を通してコミュニケーションは成立する。コミュニケーション形成の場であるwebであれば単なる企業広報の場などではなくもっと奥深いものだと考える。奥深いとはユーザビリティなどが企業姿勢を表現するということを指す。本書からサイトの重要性を改めて教示された感じがする。

確かに企業理念、ビジョンなどを最も表現する場であり、経営者の考え方や経歴を表出する場なのだから当然である。佐藤可士和氏のサイトなどまさに自己表現の場となっている。とかく制作会社にまかせてしまうものだが今後は“自己表現・コミュニケーション”という考えのもとで構築をすすめる必要があると痛感する。

このようにたようなことを考えさせてくれる一冊のだが、75の切り口でwebマーケティングの原理原則を教えてくれるのである。なんとなくわかっていただけだということを改めて反省させられた。たとえば“競合”については次のように述べている。

【自社が強みと考えていても他社も同じ強みを持っていたら相対的には強みでは無くなってしまいます。逆に強みが無いと思っていても他社が弱みを持っていたら、それは相対的に強みとなるのです。競合を調査すると、強み、弱みとともにどれくらい競合に対しアドバンテージ、もしくはディスアドバンテージがあるかということもわかってきます】

自社商品の分析でなく“サイト”をこうした観点から分析するのである。ユーザビリティの視点からサイトを観察するのである。どちらかと言えばSEOなどで結果を残すほうが制作企業は価値を認知されやすいと考えるだろう。SEOの重要性もさることながらこうした観察眼でサイトを分析すればコンバーションが高まるだろう。よって2つの視点で制作することが重要となる。

コンセプトの観点から考えるにこれは制作企業と自社が一体なって行わない限りできそうに思えない。製作者との直接対話があって始めてなし得ることだと思う。勉強になる一冊だった。

 

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“思考の老化”という題名から思わず購入した一冊。経営という立場でジェネレーションギャップは怖い。たとえば「この商品売れるだろう」と感じても対象年齢層の考え方や心と乖離していれば売れるはずはない。また新しいことが少し“めんどうくさい”は危険信号となる。経営に企画はつきものである。また社員とのジェネレーションギャップも同様だ。考え方が知っても理解することができなくては組織など創れるはずはない。

 あまり考えたくはないが40代になったら感じておくべきことだと思う。著者が思考の本書で問題視しているのは『前頭葉』である。著者は『前頭葉のポイントは、大別すると「意欲と感情のコントロール脳力」「思考のスイッチング」「クリエティビティ」』だと述べている。

 当然のことながらIQ的脳力を含めすべての脳力は高くありたいがこの前頭葉に関わる脳力がこれからより重要視されることは言うまでもない。工業社会と知識社会では求められる脳力に違いがある。著者は『大量生産を前提とする工業化社会では、ミスが少なくスピードも速く、そして命令に従順な人間が必要だった。一方、知識社会で求められるのは、今までになかったものを作り出す力だから、一にもニにもクリエィティビティ(創造性)ということになる』と述べている。

 先天的か後天的かは本書の論ずるところではない。しかし何にせよ前頭葉に関わる脳力は重要だということなりそうだ。どうやらホルモンバランスも重要とのことだ。『モチベーション』が高い人、何ごとにも興味をもって取組むこんな日常てきな姿勢も影響するようである。

また『前例踏襲型』は劣化の危険が高いとのことである。確かに前例踏襲とクリエィティブに距離はあるように感じる。ここではさらに『自分で学んだことは普遍的真理』といった決め付けは認知的退行とのことである。十分な注意が必要そうである。

何にしても意識的に何ごとにも興味を持って日々行動することが決めてのようだ。

 

悪党    石川知裕

On 2011年12月13日, in 政治・経済, by admin

悪党    石川知裕

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著者は小沢一郎秘書時代の陸山会に関する政治資金規正法で逮捕された現衆議院議員である。副題には『小沢一郎に仕えて』とある。過日友人から記者会見で見た著者に『人物』を感じたとの話を聞き、本書を読むことにした。

著者は秘書時代、本件の逮捕、逮捕後と3つのステージで時々の思いを語る。2代目でなく代議士にまでなる人物なのだから相応の人だとは思うが字面からもオーラを感じるのである。言葉に軽さなど微塵もなく政治に必要な人だと感じざるをえない。これは持って生まれた脳力もあろうが『小沢一郎』に仕えることによって学んだことも多いのではないかと思う。

『小沢一郎に仕えて』という副題の通りその時々の小沢一郎の考えの背景などに紙幅がさかれている。著者が仕えたのは1996年というから下野後の新進党のころではないかと思う。その後新進党は解党され自由党へと移り変わる。時を経て民主党に吸収されるかたちなる。民主党がいまに至る端緒は小沢一郎代表に元で行われた参議院選挙だと思う。自民党安倍政権は過半数を失い不安定な政局となる。短命で終えた安倍政権後の福田内閣で大連立の話が持ち上がった。この判断是非が日本を大きく左右したと未だに思っている。それはいまの政策課題は大連立でなければ片付かないからだ。著者は次にように述べる。

『私の想像に過ぎないが、国家の存続にとって不可欠だが国民生活には厳しい政策を掲げたら、いまのポピュリズム時代では選挙に勝てないから大連立しかない、ということを小沢は考えていたと思う。消費税増税なのか、自衛隊の海外派遣恒久化なのか、具体的にはわからないが、改革を断行しても大連立なら民主党への批判をかわせるし、政権交代に近づけると思ったのだろう』

長く側に使えた著者だから感じられたのだ。地方の疲弊は時折行く山行のたびに感じる。それは休耕地であり轍や凹凸が激しい道路だったりと。いま求められる政治家は厳しい現実をわかりやすく論じる政治家ではないの。本書を通じて選挙に勝つための政策と政治が実際に行いたい政策は違うということを感じた。

著者は厳しい裁判が続くのだと思う。しかし何があろうとこの世に生を受けた使命を忘れずやり遂げて欲しいと心から思う。