90年代の証言 小沢一郎

On 2011年12月20日, in 政治・経済, by admin

90年代の証言 小沢一郎 政権奪取論

本書は月刊誌「論座」にて政治家・官僚・財界人の中で90年代にキーパーソンであった人物が当時を語り検証したものである。本書副題は“政権奪取論”とある。政治家・小沢一郎の考えを改めたく読むことにした。実際には本書のほかに7冊程“小沢一郎”に関するものを読んだ。なかでもインタビューで語る本書は本音が引き出せているのではないかと感じられる。戦後に限れば、政治経済がこれほど長く混沌としている時期はないだろう。

すこしいまの日本を俯瞰して考えて見たい。最近日銀の方のお話を聞く機会を得た。10人に満たない勉強会であり本音を少し引き出さたかなと思っている。全般を通じて感じたのは「このままだともって数年」だということだ。ここで我々得た情報を政治家がわからないはずはない。多様な情報や事柄から判断選択をするにせよ時間がないことは承知しているはずである。

2013年は米露中韓の政権選択選挙がある。米国は財政赤字に悩まされ、中国は不動産不況と賃金高騰、インフレの3重苦に見舞われている。韓国は日本以上の就職難である。EUはギリシャ、イタリアは7%の金利を下回らない。7%の意味するところは10年で債務が倍に膨らむことにある。

日本の異常な低金利が半分のかりに3.5%にでもなったら消費税増税程度で追いつくのだろうか。この国はオリンパスのようなことをしていないのだろうか。菅政権で与謝野馨代議士が経済財政政策担当大臣となった。これは政治生命をかけ増税を実行しなければとの強い思い、執念なのだと思った。だが志半ばで職を辞すこととなる。癌は克服されたと思うが、命懸けの仕事だったに違いない。

このように日本だけでなく世界全体が揺らぎかねない状態にある。民主党政権の是非は歴史が語ることになる。だが後世から及第点を得るには「強いリーダーシップ」が求めることはいうまでもない。そのひとりに小沢一郎であることは疑いようないと思っている。すこし前置きがながくなったが本書から醸しだされる小沢一郎を紹介したいと思う。

政権交代可能な2大政党制必要だと小沢一郎は言い続けた。だが中長期的視点で判断選択ができる“考える力”がなければ2大政党など難しいとわたしは思っている。あえて“考える力”としたのは人の糧が国や地方自治体からのものであればリスクを取ることが自然と難しくなる。これは年金や助成金なども含まれる。そうした中での判断は限定合理性を伴ってしまう。小沢一郎はこうしたことを踏まえてなのか中選挙区制からいまの選挙制度に変えた理由について「政治家の意識改革」が必要だったという。さらに選択をせざる得ない小選挙区制を日本人の意識改革を第一歩にしたかったと述べている。そうであれば我々はまだ二歩目は踏み出せていないのだろうか。

 小沢一郎は農家の戸別補償や子ども手当など直接分配の政策を打ち出した。この背景には消費税増税がきっとあったのだと思う。TPPに異論を唱えてはいるがそれは選挙と関係するのだと思う。本書以外の本からこうした政策に異を唱えるとは考えづらいのである。

 自らの政策が可能となる体制構築をまず行いそのうえでとるべき政策を取るというのが本音ではないのかと想像している。

「日本国内においても、国際社会においても、多数決を否定したら民主主義はなりたたない。世の中に絶対の正義は存在しない以上、言い換えれば誰もが神様でなく、間違いを犯す可能性がある以上、みんなで決めてみんなで守る以外に方法はない」

 この『みんな』とは誰をさすのだろうか。国民ではなく代議士なのだろう。それでもこの難局を乗り切るには豪腕といわれようが強く引っ張るリーダーが必要なのだと思う。

 

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