Data Base 1700

On 2012年1月31日, in life Style, by admin

新版完全征服 データベース1700 使える英単語・熟語

英単語を暗記するための本。姉妹図書に3000もあり2冊購入した。実はこの1700のシリーズは中学~高校初期のもの。いざ始めてみると始めて見たような単語が相当あった。これではまともに訳せないのも無理はない。電子辞書が無くてはならないツールとなっても致し方ない。

 いまの仕事に英語は特別必要ない。しかしこれがこれから許されるとは到底思い得ない。たとえばGoogle で調べ物をする。英語がわかるだけで、無料で日本語検索の何倍もの知識や情報を得ることができる。書籍や論文なども比較にならない。ハーバート・サイモンが『Administrative Behavior』で提出した人間の認識能力についての概念で『限定合理性』という言葉がある。知識限界の狭ければ認識能力もさがことになる。

 こんなふうに考えていたら“やらなければ”というモチベーションが沸々と湧いてきた。まずは“毎日続ける”。続ければ終わりは見える。このあたりを目標に頑張って行きたいと思う。

 

リーダーシップ 山内昌之

On 2012年1月30日, in 経営者, by admin

リーダーシップ―胆力と大局観 (新潮新書)

“宰相とリーダーシップ”について論じられた一冊。私の履歴書ではトニー・ブレアイギリス前大統領が連載されている。政局や党を纏めながらもグローバルな視座を踏まえての政治判断が如何に難しいかが日々伝わってくる。日本でも明治維新や混沌とした戦後社会のリーダーの重責もそれは大変なことに違いない。本書では次のように述べている。

『善性を実現する要素は、どの体制においても為政者がいかにリーダーシップを発揮し国民が如何に為政者を信頼して支持するのかの整合性にかかっている。こうしたリーダーシップと信頼感をつなぐものを『倫理的規範』と呼んでもよい。これは、政治家などのリーダーたちが『ボランティアする』といった個人的善意のレベルのことではない。内外にまたがる国益とは何かを考え、国民全体の普遍的な利益とは何かをしっかりと考えることである。本来のリーダーシップとは、この倫理的規範に立脚しつつ、首相はじめ政治家としての人生と職業の意味や目的を確認しながら、その上でいま何をすべきかを判断することなのである』

こうした定義のうえで鳩山由紀夫元首相や菅直人前首相の考えや行動を歴史の教訓から考察していく。著者の思いは相当厳しいものがある。西郷南洲や毛沢東との検証や多様な歴史書からも分析をしていく。しかしこうした為政者をなぜ我々は選択したのだろうか。民意と述べつつも、安全保障という重要な問題を圧倒的に国民の評価が少ない政党に左右される。こうした政権交代を可能にした責任を感じる必要が国民にはある。

如何にいまの政治家が身を捨てる覚悟が無いかを教示してくれる。だが選択対象が無いのも事実だ。求められるの“鳩山、管、野田政権、自民党”の政権をじっくり検証することだ。そのうえで財政や社会保障の実態を知りどのような政治が望ましいのかを考察する必要がある。

管前首相から消費税増税問題がクローズアップされてきた。これだけ政権が危うい時期にこうしたテーマが遡上にのるのは、我々が知る以上に財政危機が進んでいるのだと思う。縦割組織の弊害で誰も実態を把握いておらず実態はそれ以上のひどいのかも知れない。備えることは難しいが、困難を克服する心構えと体力を維持できるよう健康に留意することが求められると思う。

さまざまな歴史を垣間見ることもできとても楽しく読める一冊だった。

 

MBA経営戦略

95年のマネジメント・ブックからこのシリーズを読み続けている。本書を最初に読んだのは10年以上も前になる。戦略論を学ぶなかいまだ本書を手にするのだが、忘れていることも多く気づきが多い。

経営理念・ビジョン・戦略の3要素の重要性は規模を問わない。ここで考えなくてはならないのは、経営理念やビジョンは経営者の自己実現に近く、戦略構築にはバイアスがかかることだ。理念は普遍的に通ずる『倫理観』が求められる。またビジョンも他とわかりあえる必要がある。唯我独尊であってはならない。たとえ唯我独尊に近くとも社員やステークホルダーの理解を得なければならない。戦略はこれらの条件が整わなければ実行は伴わない。

“ミドルアッパー・ダウン” 野中郁次郎一橋大学名誉教授は大手企業の経営戦略の実態をこのように述べている。部長や中間管理職が役員とラインの中間に立って整合性を取るそんな意味合いだ。ひとつの翻訳機能と言っても良いだろう。これが大手企業において戦略の実行を難しくさせている原因でもある。これではなかなかビジョンや理念は伝わらない。

中小企業でもこうした問題は発生する。しかし中小企業では、経営者と社員の距離があまりにも近よっているために“近すぎて見えない”という現象が起こりやすい。理念は繰り返し、ビジョンはビジュアル的に表現する。こんなことが大切なのではないかと思う。

本書は経営戦略書としてはボリューム・質ともに優れていると思う。経営に携わるかたにご一読をお勧めしたい一冊だ。

 

50歳を超えても30代に見える生き方 「人生100年計画」の行程表 (講談社プラスアルファ新書)

帰りがけによる書店で売上NO1のポップに誘われ思わず購入。加齢とともに疲れは取れにくくなり、煙草はもちろんお酒も控えるような指示があちらこちらから出されてくる。そのうえで食生活全般にも気遣いが必要となる。さらに運動を日々の日課にと進められる。どれも知識としはわかっているが、実行は中々難しい。医師である著者はこれらPlusを40代から実践し自己改善をした。その時のことや医学的な見地からさまざまな教示をあたえてくれる。

著者は『脳年齢 38歳 骨年齢 28歳 血管年齢 26歳』この実績はすごい。たしかに見た目も【50歳を超えても30代に見える】。どうしたらこうなれるのかを本書は教示してくれのだが、“自分に厳しく健康に若々しく生きる”を日々の中心に置くことが必要なのだと感じられた。たとえば風邪を引いた時など、無理をすれば悪化する。しかし初期症状でも直すことを中心に生活すれば、悪化する可能性は低い。そんなイメージで捉えればよいのだと思う。生活での【アンチエイジング優先順位をあげる】これがはじめの一歩なのだ。

生活習慣について著者はつぎのように述べている。『….現代人のかかる病気のほとんどが血管や消化管、気管などの管にまつわる病気であり、その原因が不摂生であることがわかるはずです。具体的には、病気の50%生活習慣に、25%が遺伝や免疫に、残りの25%が生活環境に関係しているといわれています。どの原因も軽視できませんが、生活習慣を改めていくだけでもガンや脳卒中、心筋梗塞をはじめ多くの病気から解放されていくことがわかるでしょう。いつまでも“若く美しく健やかに生きる”ための秘訣は、生活習慣の見直しなのです』

生活習慣を考えるうえで煙草など論外(愛煙家である私にはきつい….)。それ以外には低度な運動や和食系の食事、またごぼう茶などいろいろな健康維持方を教示してくれる。読むだけでなく実行リストを作ると一層効果が出そうな一冊だった。

 

 
40歳からの記憶術

“ちょっと名前が思い出せない”40歳を過ぎたころからそんなことがある。それだけでなく本の内容がうる覚えなど、記憶力に問題を感じたりもする。その解決方法が本書には示されている。過日ブログに掲載した“脳が冴える勉強法”と関連付けて読み解くと活用度が一層ますように感じる。

 英単語の暗記など単純な記憶力が落ちたように感じるのは復習が不足しているからだと著者は述べている。確かにそれは間違いない。それにしてもと思わないではないが、2回のところを3回やると考えれば、あまり大きな問題はないようにも感じる。また継続的に暗記を必要とする勉強をすれば活性化するのではと思う。著者はこうした単純暗記よりもアウトプット=想起力が大人の記憶力では重要だという。しかし単純記憶力=知識量は絶対的に必要なこと。だとすれば“復習を重ねる習慣”まずはこれを日頃から心がけたい。

 こうした単純記憶力を【入力】、維持する力を【保持】、プレゼンなどアウトプットする力を【想起】と本書では記憶力を分類している。ちょっと名前が思い出せないのは、保持しているが【想起】ができないということになる。想起力を身につける方法を20のエッセンスでまとめている。実行しやすいことばかりで実に心強い。

20のエッセンス全般を通じて感じるのは、日頃から留意し実行することだと思う。たとえば【テーマにそって、新しい情報をインプットしながら文章にする】【出力する機会を増やし、想起する習慣をつける】【効果的なアウトプットから逆算しインプットを行なう】などがある。これなどこうして書いているブログそのものだ。またFacebookなどで発信することも重要になる。

聞き上手であることは対人関係で大切なことは間違いない。だが情報でなく自らの知恵を表出することも大切である。Googleで検索をすればすぐに情報はとれる。それを自己の文脈に落として知恵に変え表出する。検索キーワード=問題意識と置き換えることができる。自己の文脈は知識量と経験値、考え方となる。そのうえでの“想起=アウトプット”となる。

学びの姿勢を保ち知識量を増やす。アウトプットを契機として知識を知恵に変え対話を重ねる。これを繰り返すことが記憶力を高める方法なのだと思う。

本書からもたくさんのことを学ぶことができた。価値がある一冊だと思う。

 

戦略経営論 Ⅱ

On 2012年1月23日, in 経営戦略, by admin

  

課題にした戦略論。日々読み込んではいるものの遅々として進まない。時間が無かったことから前回はざっくりと読んだのだが、理解が不足していたように感じる。今回は難解なところは図に落とし理解度を確認しながら進めている。

競争環境(独占市場~完全競争市場)をエリアマーケティングで捉えながら考察を試みた。中小企業は地域密着型の企業が多い。飲食店を例にとると同一エリアでも牛丼店と客単価10000円の店が混在している。またファミリー、グループ、年齢などの要素も考えなければならない。少し細かく分析し対象エリアに少ない業種を選択するのはひとつの方法である。これなら人口調査と対象エリアを1日歩けば目安が立つ。そのうえで候補を幾つかだし検討を重ねるのもひとつの方法だ。

そうなれば広告手法のコストダウンも可能となる。如何にニッチを感じ取るかが分かれ目となる。大手資本であれば大型店舗、人海戦術、広告展開、値引き、長期投資が可能だ。だが小規模店舗は設備資金、赤字に絶えられる期間が限定される。同一マーケットで競争をすればこのすべての要素と競争をすることになり、勝負は極めて難しい。単に家賃だけの問題ではない。それならば自社独自のマーケットを選択すべきである。

今後はより深めていきたい。

 

カンブリア宮殿<特別版> 村上龍×孫正義 (日経プレミアシリーズ)

TV放送は残念ながら見ることができなかった。映像で見るとまた違った感覚を覚えたのかと思うと残念に思う。いま実践の場にいる創業代表者では孫正義氏がNO1ではないかと思っている。ものづくりが戦後の日本を復活させたことは間違いない。これから『モノ』を創るのでなく『コト』を創るのだと思う。コトは“個々の文脈”であり文脈創りと言葉を変えることができる。そうしたときの“ものづくり”は昭和をつくったものづくりとは違うのではないだろうか。孫正義氏はコトのインフラを創っていると捉えている。

クリエイティブな二人の対談は実に面白い。村上龍の質問が孫正義氏の過去を描写化させる。村上龍ならではの質問力だと思う。リーダーは“知を集め編集する力”が求められる。プレイヤーとキャディ関係のような経営スタンスではweb社会では生き残りが難しい。
それについて孫正義氏は次のように語っている。

『自分の能力なんてたかが知れている。でも優れた能力のある人をいっぱい集めれば、群れとして、仲間として、すこし何か大きな前進ができるんじゃないかという思いが、常にあるのです。…..明治維新だって、坂本龍馬一人でやったわけではないですよね。西郷隆盛一人でやったわけでもない。西郷さんだとか高杉晋作とか桂小五郎とか久坂玄瑞だとか、それこそいろいろな人が、名もない、命もいらない、名誉もいらない、そういうものではなくて、日本のために自分たちが志を結集すれば新しい世の中を創れるかもしれないということで集まったのだと思うんです』

こう捉えると明治維新も集合知によってなされたという解釈ができる。維新に携わった志士は強烈な個性と使命感の持ち主であった。そういう人だからこそ個人能力の限界も感じるのだろう。これは孫正義氏も通じることなのではないだろうか。あれだけの企業を動かしている人だからこそ“個人能力の限界”を感じるのだろう。“出会う人や仲間”が孫正義氏とは違った角度の能力を持ち主であるに違いない。

本書は全般を通じて熱いものを感じさせる。高い志、経営者としての覚悟、人としての正しさや思いやり。またひとつ勉強になった。

 

レーガン – いかにして「アメリカの偶像」となったか (中公新書)

日曜の日経書評や三省堂本店でも本書が取り上げられていた。レーガンが首相となる前年の日本を含めた西側諸国はモスクワオリンピックをボイコットしていた。原因は1980年のソ連がアフガニスタンへ侵攻にある。米ソ冷戦構造は激化するばかりだった。こんな混沌とした時期に元俳優のレーガンは大統領となった。

いままでレーガンにそれほど着目をしたことはない。ただソ連ゴロバチョフ大統領との和平や当時中曽根首相の不沈空母発言などは記憶に深い。最近では空母の名前になっていたことから驚きを覚えた。だが本書を通じてレーガンの素顔を見ることができた。レーガンは信念を通す政治家であった。

米国の大統領は持ち時間全体の70%以上を外交問題に費やすという。いちど官僚の方に日本はどうなのかと尋ねたところ、正確なデータはないが首相の一日(産経新聞・退出時間がのっているため)から算出すると50%を割るらしい。同じ一国のトップでも仕事の中身はずいぶんと違うようだ。

レーガンはベトナム戦争やイラン米国大使館人質事件など傷ついた米国から“強い米国”振り子を戻すこと執念を燃やしていた。目指したのは『小さな政府』・『強い米国』である。当時経済でも大きく傷ついていた米国は本来軍事予算を削減する必要があったように思う。しかしレーガンの就任演説は『われわれの自制心を、決して誤解してはならない….必要とあらば、われわれは勝利するに十分な軍事力を維持する。そうすることで軍事力を行使する必要がなくなる可能性が最大化されることを知っているからである』述べた。もうひとつは『現在の危機において政府なるものは問題の解決にならない。政府こそが問題である』と就任演説で喝破したという。

まさに米国ならでは強さや意気込みを感じる。盟友であるサッチャーとともに選択したハイエクの経済政策は的を得て鋭いVラインを描く経済体質を創ることができた。だが決して順風満帆であったわけではなく、2期目にはイラン・コントラ事件がレーガンを待ち受けていた。

本書を通じて幼い頃からのレーガンを知ることができる。決して恵まれた家庭で育ったわけではない。まさにアメリカン・ドリームそのものかも知れない。うらやむのはこうした強い政治家が日本には生まれないことである。政治家のインセンティブはつぎの選挙に当選することだろう。1年生議員の仕事はつぎの選挙に受かることだと堂々と述べる政治家もいる。政治家の仕事がそれであってよいはずはない。支持を集められるレーガンのような人物がいまの日本には必要なのではないだろうか。

米国のすごさを再認識させた一冊だった。

 

脳が冴える勉強法  築山 節

On 2012年1月18日, in 経営者, by admin

脳が冴える勉強法―覚醒を高め、思考を整える (NHK出版新書 369)

勉強法の本を書店で探せばあまりの多さにおののいてしまう。それだけ人は悩んでいるのだろと思う。質をあげ量を増やすことは無論だが、時間に限りがある以上より効率的に学びたい。大人になってからの勉強はとかく独学が多い。またスクールなどで学ぶ場合でも基礎的な力をつけてから通うほうが効率的だ。本書は独学時期にはとくに有効だと思う。脳科学の進化はすさまじく苫米地英人氏や茂木健一郎氏からも多数執筆されている。そんななかで本書の特徴をひとつあげれば脳外科医である著者が“有意義な努力と最大の効果”について論じていることにある。限られた時間に無駄な努力はしたくないものだ。

カミングアウトをすれば“集中力不足”は私の弱点だといまも思っている。その原因のひとつには理解不足があったと感じている。理解が不足をしていると集中力が絶える、眠くなる。特に学術書や哲学書はその傾向が強い。そんな私の解決策は、まず深く読み込む、ノートをする、図で表現する。この3つを繰り返す。さらには自己の文脈に落とし中小企業のケースを書き込む。時間はかかるが理解が深まり身につく。こうした方法が間違っていなかったことを本書から確認することができた。

本書では脳が『冴える』方法について日常活用しやすい方法を具体的に教えてくれる。そのひとつに『締め切り』を設けることを紹介したい。脳に緊張感を持たせると冴えるということだ。

“たとえば、朝八時から勉強を始めて、九時には家を出なければならない。制限時間は一時間。その間にここまで終わらせる、という風に『時間』と『量』の関係がはっきりしてくると、緊迫感や切迫感が生まれやすくなり、脳が冴えている状態を維持しやすくなります”と述べている。以降の時間に本当に予定を入れることや量に妥協しないことなどが求められるとのことである。学生のころの“テスト”や仕事のおける“締め”のような感覚なのだろう。

著者は脳を冴えさるには“生活全体の見直し”が必要だという。切迫した状況を自ら作り出すことが求められる。疲れそうではあるが、実行できればこんなに気分の良いことは無いと思う。自らへのM的行為には違いない。だが“大人”は仕事や家庭、趣味、友人との交流などの生活に“学び”を加えることとなる。厳しくしなければ当初から無理なことは明らかだ。だがM的ではあるものの効率性を追求する方法や喜びを本書は併せて教えてくれる。

いま学んでいる方、これから学ぶ方押さえておいて良い一冊だと思う。

 

ハイエク 知識社会の自由主義 (PHP新書)

ハイエクは“知識・市場・自由”を読んだことがある。だが難解すぎ集中力を保つことすら難しかった。日経朝刊“やさしい経済学”では最近“危機・先人に学ぶ”と題してさまざまな賢人の経済学や哲学を紹介する特集が組まれている。ハイエクは八代尚宏(国際基督教大学客員教授)が紹介をしていた。とてもわかりやすい解説で俄然興味をもった。再度“知識・市場・自由”に挑戦を試みようかと思っていたところで本書とであった。

本書はハイエク、ケインズ、アダム・スミスの主張の違いを実にわかりやすくまとめてくれている。著者の理解がよほど深くなければこうした本を執筆することはできないだろうと思う。

誤解を恐れず乱暴にひとことでハイエクの主張を言えば“自由主義”ということになる。自由にすることで需要と供給のバランが取れるということになろうか。日本では小泉・竹中路線がそれに近い。真逆にあるのが小渕政権・宮沢財務大臣のケインズ型公共事業ということになるのだろう。

海外へ目を向ければイギリス・サッチャー政権、米国・レーガン政権がこれにあたる。私は実は批判的ではない。後世にどのような影響を与えるかはともかくサッチャーはEUのお荷物とまで言われたイギリスを立て直した。レーガンは高インフレ、高失業率、高金利の米国を立て直した。要素はハイエク理論だけではないだろうが貢献していることは間違いないのではないか。

日本は1990年代に100兆円を超える景気対策を行なっている。しかし平均成長率は0.8%だともいう。こんな20年ではあるが小泉政権時代は緩やかではあるが経済は成長を続けているのである。

著者は『…公共事業(主として土木工事)に、無駄が多いことも事実である。財政支出を決めてから、実際にそれが行われて効果が出るまでには時間がかかるので、そのころには景気が回復してインフレを増幅してしまうこともある。また減税は、その分が貯蓄にまわるだけで、有効需要はあまり増えない場合もある。いずれにせよ、社会が成熟するにつれて、市場の自動調整機能が働きやすくなることは確かで、この意味では現実がハイエクの理論に追いついたとも言える。….大蔵省の首脳にも、ようやくケインズ経済学を理解できる人が出てきたころ、すでに世界各国はケインズ政策をやめていたのだ』と述べている。

麻生政権以降は再び公共事業投資が増加する。民主党ではコンクリートから人へとしてバラマキがはじまる。これが“投資”のはずなどあろうはずはない。
こうしたことは歴史の審判をうけることになろうが、度々ある選挙を意識する政治家に判断選択は可能なのかと感じる。

本書を通じてすこしハイエクを知ることができた。賢人の哲学をこれからも学びつづけたいと思わせる一冊だった。