Excel で学ぶ統計解析入門   管 民郎

Excelで学ぶ統計解析入門

 “人生の宿題”この言葉身にしみます。この数年、英語と統計解析は人生の課題だなと思ってきました。ずっと先延ばしをしてきたのですが、あまりにも時間が無い状況で半ば強制的に取り組まざる得ない環境となり、本書を手にしました。しばらくは本書につきっきりと覚悟し常にバックに忍び込ませています。

 ずいぶんと構えたのですが、本書の構成は統計分析を数学的教えたうえExcelで実践させます。また簡単な例題から数式を紐解くのでとても学びやすくできています。また日常業務で使う統計分析は概ねカバーされているのではと思います。

 私は前例踏襲を基本的には行わないのですが、直感で行なうことが良くあります。しかし徹底的に論理で詰めたうえでの直感でなければ『適当』に決定していると言われてもしかたありません。それがわかっていながら『宿題』に手を付けなかった。ひとしきり反省する必要がありそうです。これを機会に不足を埋める作業に正面から取組んでいこうと思います。

 

マネジメント 基本と原則 P・Fドラッカー

マネジメント[エッセンシャル版] – 基本と原則

本書はすでに49刷というからドラッカーが如何に日本人に読まれているかがわかる。
国際的評価はわからないが少なくとも日本での評価は高い。マネジメント力が企業の成長を決める。それはマネジメントしだいで社員は成長しリソースが増える。よってレバレッジが可能となり、イノベーションさえ夢では無くなる。少し大きくなればマネジメントチームであろうが、15人程度まではすべて経営力=マネジメント力によるところが多い。
 本書を通じ感じたのは基本的なことが実にできていなかったことだ。マネジメントの基礎に『われわれの事業は何か』の問いかけがある。“事業が何か、何であるべきか”言葉に換えて説得することができるか。自らに問えば些か疑問が残る。

 『企業の目的としての事業が十分に検討されていないことが、企業の挫折や失敗の最大の原因である。逆に、成功を収めている企業の成功は、「われわれの事業は何か」を問い、その問いに対する答えを考え、明確にすることによってもたらされている』
この根がしっかりとはらなければ事業は常に揺らぐこととなる。このルーツのもとはじめて価値観が形成され企業文化を育むことが可能となる。ドラッカーは「あらゆる組織において、共通のものの見方、理解、方向づけ、努力を実現するには「われわれの事業は何か。何であるべきか」を定義することが不可欠である」と述べている。この問いに即答できなければ成功などおぼつかないだろう。さらにドラッカーはこうも述べている。
 
「目標管理の最大の利点は、自らの仕事ぶりをマネジメントできるようなることにある。自己管理は強い動機づけをもたらす。適当にこなすのではなく最善を尽くす願望を起こさせる。したがって目標管理は、たとえマネジメント全体の方向づけを図り活動の統一性を実現するうえでは必要ないとしても自己管理を可能とするうえで必要とされる。…目標に照らして自らの仕事ぶりと成果を評価できなければならない」

 一般にマネジメントといえば「他を管理する」イメージがある。しかし自己を管理できない者が他を管理することなどできようか。人はそうでなくとも自分にやさしい。抑制なのかナルシストなのか個々人によって違うがマネジメントを実行するうえで成功ポイントのひとつであることには間違いない。ストイックなまでに自らに厳しくする。その先が見えずとも方向が誤りでなければ進む以外にない。

これからは適度にドラッカーをブログで紹介していきたいと思う。

 

ビジネス理論集中講義  安部徹也

最強の「ビジネス理論」集中講義 ドラッカー、ポーター、コトラーから、「ブルー・オーシャン」「イノベーション」まで

ドラッカー、ポーター、コトラーなど著名な理論の最重要ポイントをコンパクトにまとめた一冊。著者が安部さんだったのにはびっくり。著者が開催しているMBA solution
Bar にてこの3ヶ月ほど学ばせて頂いているからだ。ドラッカーについて数ページでまとめる必要があり参考文献として紹介されたので拝読した。

映画にもなった“もしドラ”などとっつきやすい文献もあるが、ご本人の著作は概ね難しい。まとめる都合もあるのでこのブログでは本書ドラッカーについて2回に分けて綴ってみたい。事業を行なううえで最も重要なことは何か。それは『ビジネスの目的を明確にする』ことにある。本書ではドラッカーの有名な言葉『企業の目的は、それぞれの企業の外にある。企業は社会の機関であり目的は社会にある。したがって、事業の目的として有効な定義はひとつしかない。顧客の創造である』を紹介している。そのうえで次のように解説を加える

『ビジネスの大半が上手くいかない理由は、この目的や目標、努力の方向性を理解することなく、『ビジネスはお金儲け』という誤った考えを掲げてスタートし、誤った道に進んで行くところにあるのです。企業は、利益を追求することを目的にビジネスを展開するのではなく、社会に価値のあるものを提供することを目的にして、その目的が本当に達成できているかどうかを、利益という数字で検証していくことが必要なのです….ビジネスで成功したかどうかは利益や報酬で測れますが、自己の欲求を満たすために、利益や報酬を目的として追求してはならないのです。社会や会社に対していかに価値を提供していくのかという、ビジネス本来の目的を明確にしたうえでなければ、たとえ一瞬は成功することができても長続きせずいずれ大きな落し穴に陥る可能性が高くなるからです』

目的を達成する手段として『利益』は必要不可欠。しかしそこが目的化してはならない。この当たり前で単純なことを経営者はときとして『失念』し誤った方向へ向かう。それは『存続条件』でもあるからだ。しかし顧客から見たときの『存続条件とは』という視点から見ればあきらかだ。利益目的会社と取引をしたい企業の存在理由などあろうはずはない。

利益は顧客創造の結果に過ぎないのだ。俯瞰して考えれば当たり前のことを忘れてしまう。時として愚かな自分に言い聞かせる必要があそうだ。

 

今後の研究課題

On 2012年7月13日, in 組織, 経営戦略, by admin

組織が発展するには人材育成が要となる。だが中小企業では離職や経験、収益などの問題から難しい現実である。そこで成長している中小企業を分析し中小企業組織と教育をキーワードに取り組んでいきたいと思う。まずはこれまでの研究を概観してみた。

結論と考察

複数回転職インタビュー調査の結果、入社直後に退職を意識し行動する『リアリティショック』グループと一定期間後に退職を意識し行動する『潜在的離職者』のグループに分かれた。リアリティショックグループは、① 経営者への不信 ② 自己実現ができない ③ 信頼を得られていない特徴があげられ早期に転職し問題解決を図ろうとする。潜在的離職者グループは、会社を変えようとする人材と就職活動を始める者に分かれた。次に離職者が少ない企業と複数回転職社の勤務企業を比較した。離職者が少ない企業は組織構築に意欲があり、対話、時間共有を重視している。経営者は組織構築を重視し価値観を共有していた。多発企業は組織参加の機会が無く、自らの思いを表出ができない状態にあった。 
仮説検証であるシナリオ型可否は、将来の企業や自分の姿の議論の有無とした。A社は発展途上であり、K社は表出場が見出された。N社は、「組織や個人の未来について語り合う表出場」「ファシリテーターとしての経営者」「未来を語り合う場」で有効性が見られた。経営者は個人の目標や価値観を個人的な目標を含めて表出している。ワークプレイスは月1回の個人面談、週1回、全員が交代でファシリテーターとなる対話場など発言を引出す工夫をしている。また目標の設定方法にも特徴見られた。このようなことから「シナリオ・プラニング型ワークプレイス」は草創期の組織文化形成に有効であると判断した。
本稿独自の視点は、転職者の心理的変化の過程を明らかにしたことである。そのうえで価値観の共有の考察を深めた。結果として組織形成過程では意識的な価値観共有の仕組み作りにより定着率アップは可能と判断した。統合的、実践的に含意を考察し終章とする。

研究と結果、先行研究との比較を踏まえ理論的枠組を高橋(2003) とMaslow 欲求階層説として離職理由を統合的に分析する。本稿では生理的欲求を収入欲求、安全欲求を雇用の安定、愛情を組織人間関係、尊厳を会社からの阻害や非認知、自己実現を自己実現との乖離とし、調査結果をGTAコンセプト化し分析した。その結果、自己実現、愛情、安全に強い欲求が見られた。だが中小企業白書(2009)『正社員による仕事のやりがい』では生理的欲求『賃金水準』に強い欲求が見られた。小規模企業に勤務する複数回転職が求める欲求とは違いが見出された。しかし自己実現などの欲求満足の後に生理的欲求に移る可能性もある。マイクロビジネスに限定された『離職要因』と考えることができる。
ここまで組織文化形成は意識的に行う必要があることを明らかにしてきた。価値観の多様性は事業機会に対し多様な解釈が創出する。コンセプトの創出に結びつきやすい。マイクロビジネスが「イノベーション」を可能にするには、事業機会に対し組織生成を繰り返す組織構築が必要だと考える。そこでは従業員の「知」が求められる。複数回転職をしている従業員は、多様な経験にからさまざまな知識を有している。事業機会に経験的な知が加わりイノベーションを起す可能性が高まるとも考えられる。

 

Harvard Business Review June /2012/

On 2012年7月9日, in 組織, by admin

Harvard Business Review June /2012/

Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 2012年 06月号 [雑誌]

アメリカ経済の正念場『競争力』再生 ・それは日本への教訓か

パナソニック中村会長が辞任にあたって『戦略の誤り』と語ったのは印象深い。SONYも然りなのだと思う。任天堂でさえ手をこまねいていれば危うい。ライトユーザーがスマートフォンに移っていくからだ。マイクロソフトも勝負の時かもしれない。BRICSも成長力に限りが見えてきた『競争力再生』はG20すべての命題なのかも知れない。差別化、競争力をつけることが国、企業、人に与えられたミッションなのだろう。解決にあたって、まずはマイケルEポーター教授らの『それでもアメリカ経済は成長する』をレビューする。

『競争』とは逆の『癒し』という言葉が日本でよく使われている。使っている人に限って“癒される日々”を過ごしており、それ以上は無理なのではと思う時がある。我々に最も求められるのは “競争力復活”ではないか。米国復活の論文を読みながら日本の堕落とダブってしかたがない。共通問題を取り上げながら論を進めたい。『競争力とは何を意味するか、それが自国の繁栄をどう形づくるかを明確に理解しければアメリカは景気見通しに対応することができない』そもそもこの問題に明確に答えることがスタートラインに立つこととなる。ポーター教授は『長期的な生産性』であると述べている。『雇用創出を唯一の目的にするのでなく、より生産性の高い国になること、すなわち国内の高賃金の雇用を伸ばし、外国投資を引きつけ、アメリカの製品やサービスの需要の持続的成長を促す国になることを重視すべきである』と論じている。

新興国での生産はローテクな労働集約型から資本知識型へと変化した。中国をイメージするとわかりやすい。マーケットとしての中国が重視されれば高付加価値商品の輸出が伸びる。製造業であっても高付加価値製造業へ進化することが命題となるのだろう。新興国で製造可能なもとそうでないものの住み分けがより進んでいくのだろう。先進国の雇用事態が変化すると認識せざるを得ない。厳しい現実であるが正面から受止めることが求められる。移転や業態転換は容易ではなく、時間もかかる。それでも知恵を絞るしかないのだろう。“未来を予測することはできないが現実化することはできる”そう語ったのは堀場雅夫氏だったか。一心不乱に前を向いて取組む他に方法はないのだろう。

また別な機会にレビューを続けたいと思っております。

 

Tarzan 7/12/2012

On 2012年7月5日, in life Style, by admin

Tarzan 7/12/2012

Tarzan (ターザン) 2012年 7/12号 [雑誌]

“運動が体にいい”という特集

 いい事はわかっている。しかし何にどう効くのかはあまりわかっていない。目次から拾ってみると 1 がん 2 糖尿病 3 メタボ 4 痛風 5 風邪 6 ストレスとこんな具合だ。成人病全般に効果がありそうだ。

 私なりには「風邪とストレス」に効果的なことは実証済みだ。ラニング系の雑誌を見るとマラソン大会は毎週のように行われている。気分よくトレーニングできることに一因があるようにも思う。ストレスが少なくなれば脳も活性化する。
 「シカゴの西のネーパーヴィルは、人口15万人弱というイリノイ州5番目の都市。この203学区で、ある体育教師の提唱により「学習準備のための体育」を設けたのだ。1次限目の前だから「0次限目に体育」というわけだ。学区内19000人の生徒肥満が解消され、全米1健康になっただけではない。この学区に学業生成が常に州のトップ10に入っただけでもない。国際基準テストで理科においては世界1、数学では6位となったのだ。運動すると頭が良くなる!正確にいえば、学ぶ前に運動すると学習効果が向上する、ってこと」これってすごいことではないだろうか。もちろん検証の必要は多々あろうが、どうも関係は十分にありそうだ。

 これはもう運動をしない手はない。朝RUNは前日影響がでやすい。それでも走りだせばなんとかなる。すくなくともこの1年はなんとかかってきた。“休まず走る、距離を延ばす、付加を高める”充実した日々を過ごすためにこれからも頑張ってみようと思う。 

 

新聞・テレビはなぜ平気で「ウソ」をつくのか  上杉隆

新聞・テレビはなぜ平気で「ウソ」をつくのか (PHP新書)

著者が言いたいことはタイトルそのもの。報道お偽りや怠慢を事例から立証している。嘘というよりも政府発表が記事になるということの方が近いと思う。それはなぜか。記者クラブというグループのほかにニュースソースがないからだと著者は延べている。しかしそれにしても酷いありさまだと思う。

福島原発事故調査はIAEAなどの検証が必要だと言われていた。理由は国内機関に不信感があるからだ。その選択は国や東電が行なうわけだが、メディアは中立を超えこうした意見すら掲載されなかった。

「…IAEA調査団を24日から6月2日までの間、受け入れると発表した。調査団はIAEAの専門家らやく20人で構成される (産経2011/5/17 web) これを読んだ人は5月下旬になってIAEAが原発事故後はじめて日本に来た、との印象を受けただろう。だが実は三月十八日にすでに調査団は来日して一次情報を収集し、同月三十日には、高濃度の放射性物質が検出されたとして、飯舘村に避難勧告を出すよう日本政府に促している。WHOも女性と子供だけでも避難勧告させてはどうかと政府に打診していた….IAEA,WHOグリーンピース。三つの国際機関からの要請を拒否したことで、日本は世界から不信の目で見られている。しかし既存メディアはこれらの事実をまったくといっていいほど報じないため、多くの日本人は、自分たちが海外からどのような目で見られているかいまだ知る由もない」

本書にはこうした事実が詰まっている。新聞も読み方によっては良薬にもなる。しかし社説を始めとした囲み記事は新聞社=政府やスポンサーの意向で溢れている。たとえば与党を二分した消費税だが日経は衆議院で可決したことをひたすら褒め称えていた。新聞社全体が大政翼賛会であり反論や別な見方などまったく書かれていない。値上は理解できてもマニフェスト・ルールを破ったことに変わりはなくそのことをもっと追求すべきではないのか。ようするにメディアは“政府の意向”で世論形成を図ると見る必要がある。

こうしたことは“マイノリティ”が育ちにくくする。イノベーションを産みだしにくい土壌。責任の一端はメディアにあるのではと思う。メディアのこうした姿勢や文化は、いつかきた道を戻ることになりかねない。実に危険なことだと思う。

 メディアに対するひとつの考え方として読むべき一冊だと思う

 

東電国有化の罠         町田徹

 大飯原発が再稼働した。計画停電の不自由さを我々は昨年経験した。当社は大阪にコールセンターがあり、計画停電となれば数多くのお客さまにご迷惑を掛ける。再稼働に反対するものの、お客さまに理解を得られるのかと考えてしまう。しかし短期的な是非を問う問題ではない。我々利用者が俯瞰して考察し意思決定する必要がある。メディア報道に侵されることなく自ら情報を取って考えなければならない。本書を含め5冊ほど原発問題の本を読んだ。そうして昨日再稼働を迎えたのだが、政府は果たして当事者として責任を持って判断選択したのだろうか。消費税だぶらせずにこの問題を多様な角度から議論して欲しかった。いつかきた道を戻ることにならないことを願いたい。

東京電力の福島原子力事故調査委員会の報告では『想定外の津波と備えが不十分だったことが事故の根本的な原因と結論づけた』(日経/6/21)想定内と感じた方が多いのではないか。そもそも東電側は原子力損害賠償法にもとづく免責条項を主張しているのだから当然とも言える(異常に巨大な天災地変または社会的動乱によって生じたものがあるときは、この限りではない という条文)本書では「東電は様々な非公式の席で“裁判をやれば、第三条第一項の面積規定が認められる可能性がある。その権利を放棄したわけではない”と主張している」との言質を得ていると記している。被害者感情を無視したものではあることは間違いない。しかし国が存続を認めた。存続している器のこの発言は予測がつく。

 東電を事故前と何ら変わらない組織のまま存続させたのか。国策という姿が本書から見え隠れする。著者は事故直後の融資に際し東電は潰さないと言外しているという。またいまだ債務超過にもならず上場しているのは“賠償の勘案や福島原発の処理費用を決算が計上されていない”からだ。処理費用はシンクタンクによっては20兆に上るという。しかし監査法人は重要なポイントをクリアしていることを示す「無限定適正意見」の評価を与えている。監査は個人責任が問われる。破綻リスクを示す文言をつけているが、この評価をした監査人の責任は問われないのか。助成金や融資を含めた間接金融システムの評価の元がこれで良いはずはない。

はたして政治、官僚、東電は三位一体となって改革をしようとしているのだろうか。しばらく検討を重ねたい。