理念経営    青木仁志

On 2011年4月18日, in 書評, 経営戦略, by admin


 
戦略を超える理念経営

自社の成功事例を元に経営指針を論じた書である。理念を広辞苑で紐解くと哲学的解説の他に“俗に事業・計画などの根底にある根本的な考え方”とある。本書の解釈は「理念経営とは、わかりやすくいえば黄金律の実践経営である。すなわち「何事でも、自分にしてほしいことは、他の人にもそのようにしなさい」という黄金律を素直に、誠実に、そして本気で実践する経営だ」とある。ここで著者は“人が軸”が経営理念。そのうえで軸をぶらさずに経営することが需要であると述べている。
 
理念・目的・価値観 

経営理念は経営者の自己理念と結びつく。この根底には倫理観などが軸となる。個人の価値観とも類推する。規模が拡大するに従って経営者の価値観が企業文化へと拡大する。経営者と社員の価値観に違いがある。過去の文脈が相違することから当然と言える。中途採用では顕著に現れる。価値観の相違が離職へと結びつく。人が不安定では、成長は難しい。これは私の研究テーマでもある。著者はこうしたことを次のように述べている。

「良い会社には、良い企業目的がある。良い人材がほしければ、良い企業目的が必要になる。…ここで言っている目的とは、会社の根本的な存在理由である。「だれのために、なんのために、この会社は存在するのか」という問いに対する明快な答えを持っているとうことだ。経営理念は基本的価値観+目的から構成される。基本的価値観は組織にとって不可欠なものである。経営理念を構成する基本的価値観+目的は、創業者の人生背景・経験・哲学・信念・ビジョンから構成される」

価値観の相違を解決する処方箋は難しい。しかし“普遍的目的”を共に目指すことが解決の糸口であることは間違いない。ノートをとりながらじっくりと読み込んで見たい。

 

The Wisdom Forgotten Hiroshi Tasaka

On 2011年4月15日, in 書評, 雑感, by admin

忘れられた叡智

昨年9月に出版された詩的寓話。英文、日本語訳で構成されている。著者は現在、内閣官房参与として福島原発問題の解決に携わっている。またダボス会議やブタペスト・クラブ日本代表としても著名である。

実は周囲に“田坂信者”と言っても過言でない方が多い。あまり著者の作品を読んだことがなかった。内閣参与になれたのを機会にアマゾンで数冊発注し、断続的に読み込んでいる。

石原都知事は「震災への日本国民の対応をどう評価するか」と質問したところ、「日本人のアイデンティティは我欲。 この津波をうまく利用して我欲を1回洗い落とす必要がある。 やっぱり天罰だと思う」と語ったという。知事は信仰心が強いという。名もない石像に手を合わせる心を持つと聞く。著者の“日本の力”を思う気持ちと知事の心と相通ずるものがあるように感じてならない。“我欲”でなく“共存・共創”という本来のアイデンティティを取り戻せということではないか。そんなことから書評にこの発言を引用した。

目に見えない資本を大切にしなければならないと本書は述べる。

 知識資本 関係資本 信頼資本 評判資本 文化資本 共感資本 と本書は述べている。こうした相互の関係性から創出されるコトが重要なのだと痛感する。

政治は混沌とし機能不全であるようにも見える。総理は山口県の出身である。原発は福島である。長州と会津何かここに歴史的な運命があるようにも感じる。知事の我欲はまさに政治の中でもっとも蠢いているのではないだろうか。著者が論じる“日本人の心”があるとするならもっとも欠乏しているのは“政治家”ではないか。

 

自信のつくり方  青木仁志

On 2011年4月14日, in 書評, 雑感, by admin

一生折れない自信のつくり方

“一生折れない自信のつくり方”これは中々難しい。逆に自信過剰ではとさえ思う。しかし自信を喪失している人が多いのかも知れない。その現れか丸の内丸善で本書が平積みとなっていた。地震の影響で報道は偏りを見せている。本来地震が無くとも就職率や失業率は高い数値を示していたはずだ。問題解決に対して思考停止となってはならない。環境が悪化しても立ち上がる人間はいる。思考停止せず自分を棚卸し、環境を見極め立ち上がる。それを可能にするのは“自信と思考”だと本書は教えてくれる。環境がなんであれ立ち直るのは自分自身なのだ。

思考と行動

「マイナスの思い込みに捉われてしまっている人は、マイナスの思考を持っています。それが人生を左右します。人間は思考の生き物。人生は、その人の思考以上でも以下でもありません。少々哲学的ですが、「あなたはあたなの思考そのもの」なのです。自信の欠如、何かに対する恐れ、否定的な解釈、これらの元は、すべて「あなた自身の思考」です」

 “思考と行動の一致”があって始めて結果が生まれる。ここではマイナス思考はマイナス行動を取っているということである。さらに言霊がマイナス要素を引きこんでしまうのかも知れない。本書では「思考が行動を作り行動が結果を作る原理原則」と述べている。

【思い】【願い】【行動】この3つが思考を現実化させると本書は述べている。自己と願望(目標)が乖離していれば一層の努力が必要となる。また自分一人ではできないかも知れない。一人でできることのほうが少ないだろう。愚直な努力の積み上げが目標に少しずつ近づかせる。

行動:人間関係

本書によればハーバードの研究に次のようなものがあるとのことである。
「人生における成功も失敗も、その85%はその人自身の心構えの結果であり、そこ(心構え)から産み出さられる人間関係の質と量には相関関係がある」これを「心構えが前向きでないと良い人脈をつくれない。後ろ向きな人脈しかできない。人は温かく思いやりがあって、チャレンジ精神のある人に惹かれる。ほどほどで、まあこのぐらいでいいかというには魅力を感じない。成功には成功するための心構えが必要で成功している人ほど、人との縁を大切にしている」

これが一つの結論だと思う。家族、仕事、友人などの縁を大切に生きることは極めて重要である。人との出会いを感謝することの重要性を努めて感じる。縁を続けることは相手から必要とされる人物になることだと思う。

ごく当たり前のことを積重ねる。これが大切だと感じる。本書は数多くのことを教示してくれる一冊である。

 

インテリジェンス人間論

著者の人間観は鋭い。そのことについて次のように語っている。

「人は、できることと好きなことが異なる場合がある。インテリジェンス(諜報)とは行間を読むという意味なので、本来的にはテキストを扱う仕事なのだと思う。…隠されている情報をつかみとっていく作業は、知的ゲームとしては実におもしろい」対人間と考えると“人の背面や心の中をつかみとっていく”とも言える。そんな著者が出会った人について書かれたのが本書である。著者のフィルターを通すことで新たな像が浮かび上がるそんな気がする。

鈴木宗男氏について

著者が外務省を去る要因となったのが鈴木宗男氏との背任容疑である。現在鈴木氏は収監されているが最後まで無罪を主張していたことは生々し記憶に残る。また最後まで鈴木氏を裏切らずプレトコールしたことがこの事件の真相であるように感じる。そのことについての一節を紹介したい。
「日本の外交官は、鈴木さんは信頼できる秘密を守る政治家だと言って、ロシアの要人に紹介した。そして、プーチン大統領と会うことができるほどの信頼をロシア側から得た。ここで、鈴木宗男が天下の大悪人で、国賊だというキャンペーンにまで僕が加わればどういうことになるか。いや沈黙を保つだけでもどういうことになるか。クレムリン要人や野党幹部を含め、ロシアの政治エリートは僕を信用している。その僕が最後まで鈴木さんと一緒に進み、僕や鈴木さんの口から今後の日露交渉に影響を与える外交秘密が漏れないならば、ロシア人は「政治の世界には浮き沈みがある。今回、鈴木宗男は沈んでしまった。それに佐藤優も巻き込まれた。しかしあいつ等は、筋を通し、われわれに迷惑をかけなかった。日本人は約束と秘密を守る。将来、我々が信用する日本の外交官や政治家と仕事をしても裏切られることはない」と考えるだろう」
と述べている。当然のことながら“北方領土返還”を視野にいれての考察である。信ずべきを信じ俯瞰した考えのうえでの行動である。とかく自分のことしか考えない人が多い。そうしたなかで国家の将来と一人に人物のために自己を曲げないすばらしさを感じてやまない。こうしたことが人の信頼を得るのだろう。多数の知識人との共著が世にでている。

前原前外務大臣について

 前原代議士が民主党代表を辞任したのはメール問題だった。入手はあまりにもおそまつだったことはその後明らかとなった。その責任を取って辞職した代議士はその後亡くなったことを新聞で読んだ覚えがある。このメール問題について、著者は他の書でインテリジェンスの欠乏を嘆いていた。政権の要であったにも関わらず今回も辞任することとなった。尖閣問題でクリントンから言質を引出したように極めて有能な人物なのだと思う。この震災の対外への発表も前原氏であったら状況は変わっていたように思う。中国や韓国から一方的に言われる状況にはならなかったのではないか。残念でならない。結論は著者の読みが的中していたということである。

いま国に不足しているのは著者のような官僚なのかも知れない。

 

ONE to ONEマーケティング―顧客リレーションシップ戦略

1995年初版になるのでずいぶんと古いマーケティング書となる。当時ひざを打つような気持ちで本書を読んだ。95年は“ウィンドウズ95”が日本でも売られた年である。以降PCは急激に身近となる。これをさかいに社会環境が変わる。

環境の変化に流されない理論

16年を経過する本書のコンセプトはセピア色ではない。その理由はいつの時代でも顧客はOne to Oneであって欲しいからである。本書は次のように教示してくれる。

「八百屋の商売は、店主と顧客の人間関係と、好みや家族構成といった一人一人の顧客について情報の上に成り立っていた。そして、それらの情報をもとにして、それぞれの顧客の注文に応じ売上を伸ばし、移り変わるニーズを満たすためにサービスや商品を変えていったのである。今から考えると、この前近代的なシステムは、顧客一人一人に気を配り、世話をするという意味では、正真正銘のリレーションシップ・マーケターだった。彼らは、常に適切な顧客満足度プログラムを用意し、独自の顧客維持システムの管理をおこたらなかった。まさにこれは一人一人の情報や知識に基づいて、顧客を個別に扱う、一種の「データベース・マーケティング」である」

こうした視点は他でも多分に見られる。飲食などの個人店だけではない。信用組合のような地域密着型の金融もそうであった。しかし変化したのは企業側だけではないのか。急激に変化したITC社会は企業の社内システムを変えた。企業間取引も変化させた。個人、法人を問わずエンドユーザーと接する“面”だけはリレーションシップ・マーケティングが求められるのではないだろうか。 

戦術の構築

ただし“Face to face は歓迎しない”クラスターの存在が多いことも実感できる。ここでよって接点の持ち方も一律ではない。こうしたことを解決するがCRMである。顧客DBを超えた分析により接し方も考察することができる。データの積重ねと個人の経験が“質の高いサービス”を可能にするのである。

振り返ってリレーションマーケティング、CRMと読みあさっているが今少し論理をつめたい。しかし求めることの輪郭は見えてきたように思う。

 

加速する顧客リレーションシップ―CRMとリレーションシップ・テクノロジーの活用

CRMの辞書的な一冊と言えるのではないか。リーダーが如何に顧客との関係性を構築するかについて、その目的から手法まで細かく語ってくれている。序文で次のように述べている。

「ナレッジ・ベース(…)を創ることで、ビジネス・マネージャーには顧客行動を定義し分析する有益な機会が与えられる。またこれによって、短期的にも長期的にも、顧客との間により良い関係を築いていくことができる。リレーションシップ・テクノロジーは、情報及び顧客ナレッジ・ベースの利用において、顧客との間により価値のある関係を結びための新しい標準となるだろう。これは、先進技術、顧客チャネルを中心に据えたプロセス、更には方法論(メソドロジー)とソフトウエアーが合わさって(内部的)組織行動や(対外的)顧客/チャネルに作用することを通して達成される」

リレーションシップとCRM

顧客との関係を継続することは難しい。どのような事業においても、時間の経過とともに顧客、自社、またこれらを取り巻く環境が変化するからである。如何にリレーションシップ(顧客との良好な関係を築き長期に渡り取引を継続使用とするマーケティング手法)を築くかは企業存続や成長を大きく左右する。こうした問題意識を解決するマーケティング手法がCRMだと捉えている。本書定義は以下の通りである。「CRMとは顧客情報を実際的な顧客リレーションシップに変換するための「反復的な作業」である」と述べている。

Customer Relationship Managementとは企業の意味と価値

CRMとはCustomer(顧客) Relationship(関係) Management(管理)の略語に過ぎない。しかしその意味的背景は深い。言葉で表すなら“顧客への感謝”この関係性の維持がCRMだと解釈している。本書の言葉を借りれば「長期的な企業成長や顧客維持のためには、さらなる購入の引き起こしきに対する報酬や、さまざまな形での謝意の表明が重要である。….適切なリレーションシップのためにはコミュニケーションは双方向で、かつ統合され、記録され管理されなければならない。顧客についての履歴データや、詳細に渡る取引記録、そして焦点を合わせたよく類別されたコミュニケーションがなければ、リレーションシップを効果的に維持することはできない」とある。

とかくITCを中心に考察されるCRMであるが、本筋は“顧客コミュニケーション”このワンフレーズに尽きるのである。企業の意味と価値をもう一度掘り下げる必要があると考える。ここに環境変化が入り込む隙はない。

 

 
CRMの構築と実践―eビジネス時代の顧客戦略 (Best solution)

マイクロビジネスはCRMの拡張領域が広いと思う。事業形態によるところもあるが売上を計上するには“顧客特性の十分な理解”が必要である。そのためにはまずセグメントもクラスター化する必要がある。その理由は分母を増やし正確性をあげることにある。そのうえで詳細にプロファイリング化をする。BtoB、BtoCどちらでも可能である。

プロファイリングの方法 “レストランのケース”

 飲食店を例に上げて考えてみる。コンビニにポスシステムを参考に顧客分析を行う。そこでのポイントは“誰が支払うか”だ。支払者が来店に強い影響力を持つことは明らかである(男女の場合は一概に言えないが…)。次に支払者をプロファイリング化する。名刺交換などを積極的に行い個人の背景を観察する。HPなどで概ねの個人は明らかになる。また既婚or独身も対話の中から概ね想像することが可能だ。こうして明らかとなったデータを多様な角度から分析する。更に来店頻度、単価、曜日なども加える。そのうえで個別の提案を考えれば良い。

CRMとは

 本書はCRMを次のように解説している。「CRMとは一体何なのだろう。単純に定義するならば、それは収益を生む顧客を獲得し、維持するプロセスだ。CRMには、顧客が価値を感じロイヤリティを有無出すサービスに明確な焦点をおくことが必要だ」とのべている。
 
中小企業は概ね顧客数は少ない。特にロイヤルカスタマーは限られている。こうした環境であれば、顧客の要望に耳をすますことがはじめの一歩だろう。問題は“ロイヤルカスタマーとは呼べない”しかし売上比率が高い。こんなケースである。ここを脱するには決断をするしかない。問題は先延しをしてはならない。相手に取って自社の代替えが可能か否かその一点だ。他の顧客にロイヤルカスタマーの可能性を秘めた顧客がいるかもしれない。

マイクロビジネスにとってのCRMは現状をビジュアル化する機会とも言えるのではないか。

 

crmマーケティング戦略―顧客と共に (Best solution)

著者はアクセンチュア三谷宏治+戦略グループ+CRMグループとある。最近はSNSを中心としたマーケティング戦略が主流になっているよう思う。【多 対 多】の概念である。中東の動きを始め大きな“波”を起こす可能性を秘めている。可能性を確かめる意味を含め活用とともにSNSの勉強をしている。絆や繋がりまた拡張性をとても感じる。素晴らしいコミュニケーションツールであると思う。こうしたとき今一度one to one のコミュニケーションを再考する必要があるのではないかと考えた。経営という側面から考えると顧客環境は何ら変わっていなからである。段階を追った最終的なコミュニケーションはone to one だからである。ここを抑えつつSNSのすばらしさを活用する必要を感じたのだ。そこで本書を始め5冊ほどCRM関連の書籍を購入した。

重要なのは個のブランド化

本書から手にしたのは、三谷宏治教授(現在K.I.T.虎ノ門大学院教授)は講演を聞いたことなどが理由となる。初版は2003年であり時代感を感じざるお得ない。Webマーケティングの流れの速さを実感する。しかしその手法に若干の変化が見られるに過ぎないのではないか。ようするにコミュニケーションを如何に波及させるかが焦点となる。医師個人への波及~全国への波及というMRの実例が掲載されているが未だこの状況は変わらないだろう。やはり最小のネットワークをしっかりと構築することが重要なのだ。ここでの信頼や安心が上位ネットワークへと繋がるのである。こうしたことを考えるとき【個のブランディング】ということを感じてならない。「売りに繋がる波及力育成」として類似の考えが説明されているので紹介したい。

「売りに繋がる波及力育成である。ターゲット医師の潜在的波及力を育成する活動だ。…研究費を提供したり、製薬会社の研究員や研究施設を提供したりする。最後は論文作成のための文献検索までさまざまであるが、このあたりは既にほとんどの製薬会社でも行われている。…アクセンチュアが行った医師調査では大学内科医の半数近くがテーマ選定のための国内研究情報のための国内外研究情報の提供や論文作成のためなどの具体的支援が必要と答えている。より専門性の高い情報提供を可能にするか、若しくは徹底したサービスを提供するかのいずれかのさらなる対応が必要であろう」

ことば遊びは何も創出しない

このようなリサーチ結果が論じられている。とかくマーケティングや戦略論は“言葉遊び”になりやすい。ITCが重要であることに何ら異議はない。しかし現場力はこうした求められていることを知り、それを徹底して解決することが重要なのだ。これを可能にする人間力が“個のブランド力”だと思っている。

 ここを軸にマーケティング戦略を構築したいと考えている

 

実践的MOTのススメ―商品開発者のための商品創造論

本書目的は「Management of Technology、技術者のための経営教育が叫ばれ….商品造りの対する方法論が必要になっている。….新興商品のマーケティング論…サイエンス工学科の製品企画論など筆者の講義録を見直し、新しい商品学の一端を担えればと考え、時に前例のない新興商品の創造論に重点を置いて記述を進めた」とある。商品創造の教科書と言える。

未踏のマーケット

“モノ”が売れない時代になっている。自信は日頃、文脈やコトなど検証をしている。その前提には40インチのTVが50,000円で売られている時代だ。顧客の文脈に重ねたとき50,000円で同等以上の楽しみを与えないとならない。今後はタタの20万の車が国内自動車市場も少なからず影響するだろう。マーケットはすでに“未踏の領域”だと言える。

人はなぜモノを買うのか

本書は決して技術者向けの教科書ではない。経営者はもちろんマーケッタやプランナーなどを含め全体を見直すには良い機会を与えてくれるのである。我々は“自社の商品が顧客に何を創出するか”を考え続けなければならない。本書はその答えを次のように述べている。
「商品の変遷を念頭に商品とは何かを考えてみると製品(形態)そのものを買いたいわけでなく自分の生活にあって欲しいコト(体験やライフスタイル)を買いたいわけで、その仲介物が商品であると言える」

人はコンセプトを購入する

まず自社の向こう側に存在する見えない顧客のライフスタイルを想像しなければならない。自らが創出した“コンセプト”が顧客の明日をどう変えるかなのである。企画者、作り手、販売者は “商品×個数=売上”の単純化した構成にいる。サービスでもあまりかわりはない。商品価格の対象にTVを取り上げたが単純に之以上のライフスタイルチェンジ=コンセプトを産み出さなければ売れないと考えざるお得ないのである。

本書がMOTに限らないという意味はこうした重要なコンセプトを生み出す手法のヒントが冊子のさまざまなところに見え隠れするからである。

 


人生を変える時間戦略

“人生を変える”というと少し大げさな気もする。しかしタイムマネジメントが出来ないと結局何も前に進まないということは十分すぎるほど知っている。年が変わり早3ヶ月を経過した。私は昨年と環境が変わり“自己管理”に注意をはらうようにしている。青木先生の自己管理方法を参考に実践を積み重ねている。

自己管理(時間管理)をする理由はひとつしかない。求めることを成し遂げたいからである。本書は次のように述べている。

「人は本来、怠惰なもので、何もしないとすぐに楽な方へ流されてしまいがちです。それは人間の本能からくるものなので、通常であれば仕方がないことでしょう。ではなぜ「自分が求めるもの」が明確になると、人は本能に相反する行動がとれるのでしょうか。それは自分の中にこうしようという強烈なイメージが生まれるからです。短期的に見れば楽に向かっていないと思うような代償の先払いも長期的にみれば大きな楽に向かっているということがわかるのです」

短期的な努力で成し遂げられたことはあまり価値がないように感じている。結局のところオセロゲームのように一瞬ですべてが変わってしまう。これを繰り返してもリソースにはならない。成功者が共通は【愚直な積重ね】の重要性を語る。これを実行可能にするのが自己管理であり時間管理であるように思う。