加速する顧客リレーションシップ―CRMとリレーションシップ・テクノロジーの活用

CRMの辞書的な一冊と言えるのではないか。リーダーが如何に顧客との関係性を構築するかについて、その目的から手法まで細かく語ってくれている。序文で次のように述べている。

「ナレッジ・ベース(…)を創ることで、ビジネス・マネージャーには顧客行動を定義し分析する有益な機会が与えられる。またこれによって、短期的にも長期的にも、顧客との間により良い関係を築いていくことができる。リレーションシップ・テクノロジーは、情報及び顧客ナレッジ・ベースの利用において、顧客との間により価値のある関係を結びための新しい標準となるだろう。これは、先進技術、顧客チャネルを中心に据えたプロセス、更には方法論(メソドロジー)とソフトウエアーが合わさって(内部的)組織行動や(対外的)顧客/チャネルに作用することを通して達成される」

リレーションシップとCRM

顧客との関係を継続することは難しい。どのような事業においても、時間の経過とともに顧客、自社、またこれらを取り巻く環境が変化するからである。如何にリレーションシップ(顧客との良好な関係を築き長期に渡り取引を継続使用とするマーケティング手法)を築くかは企業存続や成長を大きく左右する。こうした問題意識を解決するマーケティング手法がCRMだと捉えている。本書定義は以下の通りである。「CRMとは顧客情報を実際的な顧客リレーションシップに変換するための「反復的な作業」である」と述べている。

Customer Relationship Managementとは企業の意味と価値

CRMとはCustomer(顧客) Relationship(関係) Management(管理)の略語に過ぎない。しかしその意味的背景は深い。言葉で表すなら“顧客への感謝”この関係性の維持がCRMだと解釈している。本書の言葉を借りれば「長期的な企業成長や顧客維持のためには、さらなる購入の引き起こしきに対する報酬や、さまざまな形での謝意の表明が重要である。….適切なリレーションシップのためにはコミュニケーションは双方向で、かつ統合され、記録され管理されなければならない。顧客についての履歴データや、詳細に渡る取引記録、そして焦点を合わせたよく類別されたコミュニケーションがなければ、リレーションシップを効果的に維持することはできない」とある。

とかくITCを中心に考察されるCRMであるが、本筋は“顧客コミュニケーション”このワンフレーズに尽きるのである。企業の意味と価値をもう一度掘り下げる必要があると考える。ここに環境変化が入り込む隙はない。

 

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>