本書目的は「Management of Technology、技術者のための経営教育が叫ばれ….商品造りの対する方法論が必要になっている。….新興商品のマーケティング論…サイエンス工学科の製品企画論など筆者の講義録を見直し、新しい商品学の一端を担えればと考え、時に前例のない新興商品の創造論に重点を置いて記述を進めた」とある。商品創造の教科書と言える。
未踏のマーケット
“モノ”が売れない時代になっている。自信は日頃、文脈やコトなど検証をしている。その前提には40インチのTVが50,000円で売られている時代だ。顧客の文脈に重ねたとき50,000円で同等以上の楽しみを与えないとならない。今後はタタの20万の車が国内自動車市場も少なからず影響するだろう。マーケットはすでに“未踏の領域”だと言える。
人はなぜモノを買うのか
本書は決して技術者向けの教科書ではない。経営者はもちろんマーケッタやプランナーなどを含め全体を見直すには良い機会を与えてくれるのである。我々は“自社の商品が顧客に何を創出するか”を考え続けなければならない。本書はその答えを次のように述べている。
「商品の変遷を念頭に商品とは何かを考えてみると製品(形態)そのものを買いたいわけでなく自分の生活にあって欲しいコト(体験やライフスタイル)を買いたいわけで、その仲介物が商品であると言える」
人はコンセプトを購入する
まず自社の向こう側に存在する見えない顧客のライフスタイルを想像しなければならない。自らが創出した“コンセプト”が顧客の明日をどう変えるかなのである。企画者、作り手、販売者は “商品×個数=売上”の単純化した構成にいる。サービスでもあまりかわりはない。商品価格の対象にTVを取り上げたが単純に之以上のライフスタイルチェンジ=コンセプトを産み出さなければ売れないと考えざるお得ないのである。
本書がMOTに限らないという意味はこうした重要なコンセプトを生み出す手法のヒントが冊子のさまざまなところに見え隠れするからである。