カンブリア宮殿<特別版> 村上龍×孫正義 (日経プレミアシリーズ)

TV放送は残念ながら見ることができなかった。映像で見るとまた違った感覚を覚えたのかと思うと残念に思う。いま実践の場にいる創業代表者では孫正義氏がNO1ではないかと思っている。ものづくりが戦後の日本を復活させたことは間違いない。これから『モノ』を創るのでなく『コト』を創るのだと思う。コトは“個々の文脈”であり文脈創りと言葉を変えることができる。そうしたときの“ものづくり”は昭和をつくったものづくりとは違うのではないだろうか。孫正義氏はコトのインフラを創っていると捉えている。

クリエイティブな二人の対談は実に面白い。村上龍の質問が孫正義氏の過去を描写化させる。村上龍ならではの質問力だと思う。リーダーは“知を集め編集する力”が求められる。プレイヤーとキャディ関係のような経営スタンスではweb社会では生き残りが難しい。
それについて孫正義氏は次のように語っている。

『自分の能力なんてたかが知れている。でも優れた能力のある人をいっぱい集めれば、群れとして、仲間として、すこし何か大きな前進ができるんじゃないかという思いが、常にあるのです。…..明治維新だって、坂本龍馬一人でやったわけではないですよね。西郷隆盛一人でやったわけでもない。西郷さんだとか高杉晋作とか桂小五郎とか久坂玄瑞だとか、それこそいろいろな人が、名もない、命もいらない、名誉もいらない、そういうものではなくて、日本のために自分たちが志を結集すれば新しい世の中を創れるかもしれないということで集まったのだと思うんです』

こう捉えると明治維新も集合知によってなされたという解釈ができる。維新に携わった志士は強烈な個性と使命感の持ち主であった。そういう人だからこそ個人能力の限界も感じるのだろう。これは孫正義氏も通じることなのではないだろうか。あれだけの企業を動かしている人だからこそ“個人能力の限界”を感じるのだろう。“出会う人や仲間”が孫正義氏とは違った角度の能力を持ち主であるに違いない。

本書は全般を通じて熱いものを感じさせる。高い志、経営者としての覚悟、人としての正しさや思いやり。またひとつ勉強になった。

 

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