リーダーシップ 山内昌之

On 2012年1月30日, in 経営者, by admin

リーダーシップ―胆力と大局観 (新潮新書)

“宰相とリーダーシップ”について論じられた一冊。私の履歴書ではトニー・ブレアイギリス前大統領が連載されている。政局や党を纏めながらもグローバルな視座を踏まえての政治判断が如何に難しいかが日々伝わってくる。日本でも明治維新や混沌とした戦後社会のリーダーの重責もそれは大変なことに違いない。本書では次のように述べている。

『善性を実現する要素は、どの体制においても為政者がいかにリーダーシップを発揮し国民が如何に為政者を信頼して支持するのかの整合性にかかっている。こうしたリーダーシップと信頼感をつなぐものを『倫理的規範』と呼んでもよい。これは、政治家などのリーダーたちが『ボランティアする』といった個人的善意のレベルのことではない。内外にまたがる国益とは何かを考え、国民全体の普遍的な利益とは何かをしっかりと考えることである。本来のリーダーシップとは、この倫理的規範に立脚しつつ、首相はじめ政治家としての人生と職業の意味や目的を確認しながら、その上でいま何をすべきかを判断することなのである』

こうした定義のうえで鳩山由紀夫元首相や菅直人前首相の考えや行動を歴史の教訓から考察していく。著者の思いは相当厳しいものがある。西郷南洲や毛沢東との検証や多様な歴史書からも分析をしていく。しかしこうした為政者をなぜ我々は選択したのだろうか。民意と述べつつも、安全保障という重要な問題を圧倒的に国民の評価が少ない政党に左右される。こうした政権交代を可能にした責任を感じる必要が国民にはある。

如何にいまの政治家が身を捨てる覚悟が無いかを教示してくれる。だが選択対象が無いのも事実だ。求められるの“鳩山、管、野田政権、自民党”の政権をじっくり検証することだ。そのうえで財政や社会保障の実態を知りどのような政治が望ましいのかを考察する必要がある。

管前首相から消費税増税問題がクローズアップされてきた。これだけ政権が危うい時期にこうしたテーマが遡上にのるのは、我々が知る以上に財政危機が進んでいるのだと思う。縦割組織の弊害で誰も実態を把握いておらず実態はそれ以上のひどいのかも知れない。備えることは難しいが、困難を克服する心構えと体力を維持できるよう健康に留意することが求められると思う。

さまざまな歴史を垣間見ることもできとても楽しく読める一冊だった。

 

One Response to リーダーシップ 山内昌之

  1. 神奈川県生産性本部宮崎汎 より:

    ご講演をお願い申し上げたく存じます。どのようにさせていただいたらよろしいでしょうか
    お差し支えなければご指示いただければ幸いです。 宮崎汎

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