選ぶ力    五木寛之

On 2013年3月20日, in life Style, by admin

選ぶ力    五木寛之

選ぶ力 (文春新書 886)

30数年前、著者の文庫本との出会いが読書好きへのきっかけでした。中学の頃、神保町の古書店を回り作品集を買いあさりました。当時の私は著者のお歳など考えたこともなかったように思いますが、数年前いわゆる中高年の生き方を仏教から導いく作品を執筆されているということを知人から教えられ、この時折読むようにしております。50年に渡り一線で書き続ける著者の知からにじみ出る人生観は数多くのことを感じさせます。本書もそんな一冊です。ここでは3章「運命を選ぶ」をご紹介したいと思います。

“生まれたときから運命が定まっている”あまりにも運が悪いことが続くとそう思ってしまう人もいるのかもしれない。生まれてくる環境や親を選ぶことはできない。資産や考え方がなんであれそれを受け入れるほかない。幼年期の親の教育や考え方に左右され一生過ごす人もいるだろう。だが同じ親から教育を受けた兄弟でも人生は違う。そうであるなら、環境解釈によって結果が変わってくると考えられないだろうか。少々飛躍をするのだが「選ぶ力」とは考え方を選択する“力”と言えないだろうか。いつくもの選択と行動を繰り返した結果が「いま このとき」なのだ。

こうした連続について次のように著者は述べています。「たとえばプロ野球のイチローでもいいが、すぐれた打率をあげたとする。その成績は、少年時代からの習練の結果であり、創りあげられた肉体と技術とスピリットにもとづく。….こう考えると「今を生きる」ということが、時間のなかで過去と未来に挟み撃ちされていることに気づかないわけにはいかない。さらに問題は、私個人の過去だけでなく、私たちの両親、民族、人類の過去までを引きずっているということだ」

国家債務のような社会的な過去からの“ひきずり”は逃げることはできない。可能なのは、それでも自分にとって、プラスに“転換”する方法を考え、実践するほかにはない。自分の過去もマイナスな要素は内省し、今後に活かしたい。“プラス=ポジティブシンキングとアクション”これが過去と未来に挟み撃ちされた刹那な生き方なのだと思う。思考と行動の“選び方”が未来を決定づける。「..過去は現在を支えると同時に未来を規定する」とワンセンテンスで著者は述べている。

常々思うのですが、目の前のことを必死にやり遂げる。やらない理由は探さずにただただやる。これが“良い未来”を創るのだと思います。いまの与えられた条件のなかで目的、目標に如何に紐付けるか。紐付けた思考と行動を選択し実践できるか。苦しくとも続けていれば「見えざる手」が差し出されるのではないでしょうか。

 

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