Harvard Business Review 【絆の経営】 2012 / 4

Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 2012年 04月号 [雑誌]

 今号の中心は組織論。メルマガにも書きましたが、どんなに素晴らしい戦略も実践するのは人であり組織。就職戦線は厳しい。しかし定期採用を行なう。そこには人を育成しなければ企業は成長しないという思いがあるからだ。

 中小企業の売上は小さい。しかし一人あたりの売上比率は大きい。5人でやっている会社なら一人が20%となる。また軸になる人の責任や比重も高い。右腕人材の寄与度となれば代表者と以上という場合もある。裏を返せばこのリスクはとてつもなく高い。しかし右腕に成り代わる人物が数多くいれば、経営の安定性は極まりない。これは“人を育てる”ということに結びついているのだろ。

 本書は組織モデルやコーチング、リーダーシップなどについて合計10本の論文が掲載されている。全体の枠組み(=組織モデル)を考えリーダーシップによって社員を導いていく。組織構築の基本だが、その道標が本書だと言ってもよい。こうした問題意識に答えてくれる論文【集合的野心の力】を紹介したい。

 EU問題や不自然な動きをする中国。こんな環境でも輝きを続ける企業。そんな企業を演繹的に分析し次のように述べる。

『…これら従来の論理では説明できない成功企業について調べたところ、そこには「集合的野心」というモデルが存在していた。この集合的野心は「目的」「ビジョン」「目標とマイルストーン」「ブランドの約束」「戦略上および業務情の優先事項」「価値観」「リーダーの行動」の7つの要素からなりたっており、具体的には社員たちは、みずからの存在理由について、また何を実現したいと考えているのか、その野心の達成にむけてどのように協力するのか、そしてブランドの約束と価値観をどのように整合させるかを集約したものである。これを生み出し、組織に浸透させるには、社員たちを協働さえながら結束させる【接着剤】と規律に基づいて実行させる【潤滑油】が必要になる』

  少し長いがこれが本論の要約である。本誌には興味深い図表で、示してはいるが真新しい視点ではない。あえてここでも紹介したのは基本をやらずして応用はないという心からだ。中小企業では浸透させる責任者は経営者以外にない。

 やるべきは【集合的野心】を現場に落とし浸透させるPDCAサイクルをどう描くかだ。
一気呵成に行くことなどないだろう。進展と後退を繰り返しながら進む他に方法はないだろうと思う。苦しいとは思う。だがその苦しみが企業を成長させるのではないだろうか。

久しぶりのHBRいささか疲れもするが、おおいに勉強になった一冊だった。

 

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