自社の課題解決を目的に久しぶりに本書を紐解いた。
人が競争力の源泉である中小企業は多い。源泉は個人の知恵やノウハウが競争力だ。代表者自身が源泉となっていることも多いが、相当な切磋琢磨が無い限りそれは困難だろう。社会のコモディティ化を見ればそれは明らかだ。
価値観を共有した組織体。これが解決のセンテンスだと思う。本書は人、組織を考える場合、組織行動学と人的資源管理の2つの切り口があると述べている。本書は『人的資源管理』に着目しそれを中心に論じている。人的資源管理とは『組織構造や評価制度などの“仕組み”のつくり方やその動かし方』を対象としている。組織行動学と人的資源管理のどちらが重要であるということではなく、深い関係性がある。
人的資源管理を本書は大きく3つにわけている。ひとつは組織構造、2つめは人事システム、3つめとして組織文化を取り上げている。組織構造を「組織の各く部分がどのような役割を担い、そこに所属する人がどのような仕事をするかを定めたもの」と定義している。
人事システムは「人をどう活かすか」の視点が重要であるとし、そのうえで「個人のやる気を引き出し、個人の能力を十分に活用する人事システムとどのようなものか」の視点を置いている。具体的には採用・配置システム・評価システム・能力開発システムの4つにわけて考えていく。
最後に「組織文化」である。組織文化を「組織文化とは組織の体質や企業の風土などと言われ、組織の構成員が共有する価値観や理念などから成立つ」と定義づけている。そのうえで人事は組織文化にどう取組むべきかについて論じている。
経営の根幹をなす組織。実際200ページの解説では端緒をつかむことすらできない。しかし本書を軸に参考文献を重ねることで知識の枠組みを広げるのもひとつの方法だと思う。それがMBA教材の良い点である。
当社の課題は“人事システム”にある。Human Resources. Human Capital をどのように生かすか。「..重要な要素としては、モチベーションを、ビジョンの実現に向けるための仕組みである。具体的には、従業員教育/人材開発や、業績管理の領域まで含めた広義の戦略システムとしての役割を増してきている」と述べている。
人は絶えず揺れ動く。一瞬として留まっていることはない。しかし『神は細部に宿る』のである。この言葉の奥深さを再び旨に、観察眼と俯瞰した考察を繰り返したい。そして知恵が湧くであろうことを期待したい。