仕事の思想 田坂 広志
読み返すたびに、感銘を受ける一冊。
『なぜ我々は働くのか』このことについてどれだけ真剣に向きあってきただろうか。この言葉の解を考え続けたろうか。思い、環境、姿勢、才能、可能性と、ひとりとして同じものなどない。個々人でこの答えを、生涯をかけ見出して行かなければならない。そうでなければ、金で人生を売り渡してしまうからだ。
お金がなければ不自由です。しかし著者のこの言葉の後を真剣に考えると違ったものが見えないだろうか。
『..ときおり私たちは、仕事において困難に直面し、苦労を体験するときその仕事から逃げ出したくなることがあります。そして、そうした困難や苦労のない「楽な仕事」はないものかと考えてしまいます。しかしそうした考えに支配されているとき、私たちは、人生における「仕事」というものを「パンを得るための手段」と考えてしまっているのです。そして、どうせ「パンを得るための手段」であるならば「楽な仕事」のほうがよいと考えてしまうのです』
企業者であれば“儲かる仕事”に飛びつくということになるのだろう。サスティナブルな視点から見ればこのロジックはあり得ないことは明らかだ。ステップ・バイ・ステップと言い聞かせてもそれの実行者を私は知らない。積み重ねの実践者で幸せそうに見える企業者は数多い。
中小企業を研究する者として成功者の『軸』にここがあるように思えてなりません。本書 第一話 思想 / 現実に流されないための錨 これさえしっかりとしていれば、事業コンセプトが振れることなどありえない。 コンセプトやドメインが動くということは、事業の根幹が動くということにつながるのだと思います。
不自由でなくなるためにも、まず“仕事とは”を再び考える必要があるのだろうと思います。本書は全10話から成り立ちます。この場を借りて10回に分けて学んで行きたいと思います。