ほんとに、彼らが日本を滅ぼす

著者の“彼ら”とは民主党をさす。帯には『運命のカウントダウンは始まった』とある。国民の多数が選択をしたのだから『運命』という言葉は適切でないように思う。しかしカウントダウンが始まっていることは事実だろう。

本書は『民主党』の政を解説し極めて厳しい評点を下している。メディアを通じて見る限り混沌とした被災地の目を覆うばかりだ。メディアも議題の中心が原発となり福島県以外の被災地に対する報道は少なくなってきたようにも感じる。国会は“赤字国債関連成立”“首相退陣”という流れができつつあるかのような報道だ。少数政党・公明党の意向に沿うようだ。国民が納得という言葉がよく使われるが痛みを強いる時期ではないのだろうか。いまの包摂性は持続不可能ではないのか。この合議は財政危機を懸念しての選択である。結論に是非は別として少数政党の解が民意になるという危機感も併せて持つ必要がある。 

もう一方で著者が極めて懸念する安全保障上の危機を我々は失念してはならない。著者の言葉を要約すると、『彼ら『民主党』は鳩山由紀夫首相の東アジア共同体構想、600人の胡錦濤詣と中国一辺倒の政治を実行した。しかし3.11東日本大震災以降、日本の領空に接近してくる中国機に対し、日本の航空自衛隊が行ったスクランブルは、昨年動機の2.5倍、96回に登っている。さらに6.23には中国水産科学研究所所属「NAN FENG」が日本の排他的海洋水域に入り放射能汚染調査を行っている』

 中国は“やりたい放題”というのが実感だ。詳細は本書に譲るが目に余る行為に対し威厳をもった発言すらできないのは何故なのか。党綱領を作れない政党だからなのか。政権経済というシングルイシューで選択しているからこうなるのだろうと思う。外交、防衛、社会保障、財政、経済など幾つかの方向性を政党は示さねばならいのではないか。可能であれば国を左右する基本的な外交や防衛スタンスは争点にすべきではない。基本方針以外のりしろを争うべきだろう。

 著者はこうしたこと踏まえ米国、中国、東アジアとの関係について語る。冒頭では原発における危機管理の問題について論じている。いま日本が抱える外交、防衛、危機管理の問題について精緻にさまざまなことを教示してくれる一冊だ。すでにカウントダウンが始まっていることを忘れてはならない

 

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>