政権交代は悪夢ではない。いまだ続く現実なのである。感情というのはいい加減なもので自民党政権が優れていたようにさえ思える。白紙委任状を得たかのうな政を誰が予測したのだろう。しかし本書は民主党政権をつぶさに分析しそれを予見していた。昨年9月の尖閣問題は、民主党が持つ危うさの現れであることを読み取ることができる。
民主党の支援団体には「日教組・教職委員組合(29万人)」がある。詳しくは割愛するが、君が代不斉唱、不起立問題、ゆとり教育、北朝鮮親善など多々問題を抱える団体である。高校授業料無料化はインパクトの強い公約である。しかし授業料無償化、教員免許更新制度廃止、学力調査廃止は日教組が求める教育政策なのである。政党が支援団体の意向は加味されマニフェストが作られていると想像される。個別議員の支援団体に職業的左派団体があることも確認ができた。外交問題が起きることは必然だったのだと思われる。
いま竹島問題が加熱している。尖閣や北方領土を含めこの民主党が政権を担うようになってから断続的に領土問題が発生している。この要素にはこうした団体の意向を汲む政治姿勢にある。事実を本書から抜粋してみたい。
鳩山首相(当時役職) 米国グローバリゼーション批判
最低でも県外(普天間)
小沢幹事長 日米中正三角形論
鳩山首相 東アジア共同体構想
鳩山首相 ガス田開発・急がば回れ
鳩山首相 プリーズ・トラスト・ミー
作業グループ必要なし(自民石破氏・背信行為と述べる)
小沢幹事長 中国“人類史的パートナー”発言
習近平「天皇陛下」強行会見
国会議員143人を含む「626人」大訪中
鳩山首相 抑止力が分った
全国知事会・領土問題(尖閣)は議論し結論を。
石原都知事会議と途中退席・外務省絶句
普天間なんて国民は知らなかったでしょう
仙石 韓国への戦後補償は不十分
これら以外にも相当あると思うが影響がありそうな発言をピックアップしてみた。こう
してみると尖閣問題=「民主党問題」という構図が明らかとなる。この背景には歴史観や概念のあるに違いない。こうした結果が日米安保軽視、中国へのすりよりという結果を招き、領土問題を深刻化させた。理念なき行動が国そのものを危うくする。振り子を戻すことが良いとはあまり思えない。しかし著者の自民党政権へのあらたな形について次のように述べている。
「…農村や業界団体の代表政党であり続けることを思い切ってやめることだ。もっと都市生活者をターゲットとし、最大多数派であるサラリーマンが望む制作をうち出すことではないだろうか。また国民の関心が高まってきた安全保障や危機管理といった分野での強みをアピールすることでも、従来以上に共感を得られるはずだ」
国としての方向性を描き実行するには一考する価値のある提言だと思う。残された時間はあとわずかのはずである。