大臣 増補版 (岩波新書)

昨日丸善本店にて購入。初版から1年以上を経過しているにもかかわらず平積みとなっているのは如何に人々の問題意識が高いかということか。帯には“新総理の政治理念”・“民主党政権がそして私が何を考えているのかぜひお読みいただきたい”とある。震災を割り引いても理念とは程遠いのが現実だ。

随所に「国民主権」という言葉が散りばめられている。意図は「…日本は官僚主権国家なのである。官僚主権を国民主権にするためには、選挙で国民から選ばれた国会議員が政府を運営しなければならない。それが実現できて初めて国民主権の国となる」とある。
果たして“選挙”はそうした機会になっているのか。とてもそうとは思えない。一票の格差の問題は手付かずであり、投票者に対する説明責任とは程遠い。少し先のグランドデザインによって選択をしているとはとても思えない。またポピュリズムな発言により投票行動は大きく変化する。自助自立している人の投票なら良いだろう。しかし自らの生活に影響を及ぼすのであれば流されるのが自然ではないか。こうしたことからも選挙=国民主権は程遠いと感じるのである。

本書は官僚が“悪”でありこれを断ち切れば上手くいくということに終始している。現場は“お手並み拝見”であったろうと思う。これだけ攻撃すれば問題意識を持っていたとしても協力などするはずもない。コラボレーションによるイノベーションの創出などあり得ないというのが実感である。この人のために“がんばろう”という気持ちとは乖離している。すこしでも組織論を勉強すれば悪いリーダーの見本だとわかる。

こうしたことを踏まえいまの政治環境を見ると裏付けが取れる。人それぞれなので多様な角度から読むと良いのではないだろうか

 

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