知的生産の技術   梅棹 忠夫

On 2011年6月14日, in 書評, 雑感, by admin

知的生産の技術 (岩波新書)

 知的生産の技術の方法は技術発展により大きく変化をしている。初版は1969年、本書は2010年 84版となる。読み継がれるのは、知的生産技術の考え方に変わりはないからではないだろうか。

 カード式メモ、読書法、整頓と文具やPCにより方法は変わるが思考回路に変化はない。“知的生産”という意味を要約し「情報をえて、整理し、考え、結論をだし、他の個人にそれを伝達し、行動する。それは、程度の差こそあれ、みんながやらなければならないことだ」また「人間の知的活動を、教養としてではなく、積極的な社会参加にしかたとしてとらえようというところに、この「知的生産の技術」という考え方の意味もあるのではないだろうか」“自己の文脈”という言葉も知的生産に通ずるものがあるのではないだろうか。
 
 たえざる自己改革と自己訓練が知的生産の技術には重要だということを述べられているまさにその通りだ。情報の整理や思考方法を極めるに終わりはない。思考停止は考えるのを止めた瞬間である。What、howを絶え間なく続ける。その過程で生産ができるのだと思う。

 仕事は考える事の連続である。アメーバ式経営の強みは“どのような職種”でも考え続けさせることにあるのではないかと思っている。また“なぜを5回繰り返す”トヨタ式も同様だろう。知的生産技術は考える行為の礎なのである。
 
 カード式といえば本書でも紹介されるKJ方が有名である。実際フィールドワークやミーティングなどで幾度も使ったことがある。大判のポスト・イットを利用して行うのであるがさまざまな考えを集約してコンセプト化するのに大変役に立った。いまだひとりで考えるときも使うことがありデスクには常に置いてある。PPTで纏めるのも方法なのだが手を動かすことで発想が豊になるような気もする。

 文明の生態史観をはじめ数多くの著者を残され昨年7月に逝去された。著者の数多くの叡智に触れながら思考を高めたいと思う。

 

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