寺島実郎学長の講演

サスティナブルな成長をするにはエネルギーが必要である。しかしエネルギー政策はグンドデザインが描けないどころか方向性すら危うい。分散の主たる対処であった西日本の移転は電力の15%削減によりその対象から外れたように感じる。最近では工場だけでなくNTTを始めとしたサーバーの海外移転すら始まっている。
利便性とリスクの観点から考えれば交通事故により年間7000人が死亡する。これは24時間以内であり高度障害などを含めれば数倍の数値となるだろう。しかし交通事故問題でここまで自動車メーカーに非難が及ぶことが最近あったろうか。論点が違うことは承知のうえだが利便とリスクは一種のトレードオフではないのだろうか。それを努力により下げるこれが発展につながるようにも思える。こうしたことを踏まえ考察を重ねければならないのではないか。
再生可能なエネルギーへの転換、化石燃料と温暖化、原発とリスク何を軸に考察をするのかそのヒントを得たく寺島実郎学長の講演を拝聴した。

学長の講演は、福島原発の不幸な背景、欧州の考え方、日本エネルギーの現状、世界観を踏まえ見解が示された。

福島原発について

まず福島第一原子力発電所は1971年GEの支援により完成されている。当時日本は自主的判断が出来る状態ではなかったとのことである。成田闘争、ドル・ショックと国内が荒れていた時代だ。近年の環境は、柏崎刈羽原発は中越沖地震により停止、浜岡原発も停止をしており、問題を抱えながらも稼働せざる得ない状況であったとのことだ。しかし三陸沖の女川原発は何ら問題がない。17㍍の津波の被害を受けることもなかった。1984年稼働の女川が無事だったのは運ではなくロジックである。幾度もの津波に襲われている三陸は津波の危険考慮し福島に比べ15㍍高い位置に電源を確保してあったとのことである。
ここで明らかであった情報に対し事前に対策をしていればこうした問題は発生しなかったということである。

国内情勢

鳩山前首相は温室効果ガス 25%削減を国連総会で言い放った。最も効果的なのは原発を軸としたクリーンエネルギー政策となる。結果として昨年6月の民主党原子力を軸としたエネルギー政策となり原子力が50%を占めることになった。よって福島第一原子力発電所はだましだましでも稼働せざる得ない状況にあったとのことである。
対外情勢

世界は温室効果ガスを削減する事で一致している(中国含む…?)。よってスリーマイル島事件から30年たってもアメリカはラインセンス許可を出さなかった。しかしオバマは原発推進の方向へ舵を切り替えている。中国はものすごい勢いで原発を作っている。隣国である韓国や台湾、ロシアも原発保有国である。欧州ではフランスは変わることがないものの、ドイツ、イタリアは政策が変化した。
しかし世界のエネルギー政策が、福島原発問題を起点に大きく変化をするだろうか。すくなくとも日本が多言語で現在の状況を発信したらイタリア国民投票の結果はどうだっただろうか。六ヶ所村を抱える青森知事選は4倍の表を集め現職が勝っているのである。

総論

整理したいことがもう一点ある。原発推進国は核保有国であるということだ。米国は30年も原発をつくっていないにも関わらず原発技術を有している。それは核開発をしているからだ。またIAEA予算の30%は日本で使われている。その六ヶ所村に常時3人が張り付き核開発のチェックをしているとのことである。

これはそれだけ着目を集めていると考えて良い。世界は日本の核武装を疑っていることの表れだそうだ。要するに一種の抑止力として働いているのである。こうしたことを踏まえ原子力問題から日本は逃げてはいけないとのことである。原子力と電力会社、人材、周辺諸国など問題はさまざまである。

要するに“原子力技術のリーダーとして国際社会に必要とされること”これがキーワードのように感じた。

(wiki : 国際原子力機関(こくさいげんしりょくきかん、英: International Atomic Energy Agency:略称:IAEA)は原子力の平和利用を促進し、軍事転用されないための保障措置の実施をする国際機関である)

 

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