使える弁証法  田坂広志

On 2011年5月13日, in 書評, 経営戦略, by admin

使える 弁証法

著者は、震災後に内閣参与にとして福島原発問題に取り組んでおられる。著者の出版点数は多数ある。すべてを読みたい。行間から文だけでなく行間からも数多くのことを考えさせられる。いま少し時間がかかるが、月に数冊は読むようにしたいと思う。

本書は“弁証法による思慮の有効性”について論じられた一冊である。弁証法の有効性を語られる多い。ブログでも野中名誉教授や紺野教授の弁証法の見解を紹介したように想う。

弁証法は『正』『反』『合』の思考の深化だ。討論(ディベート)や議論(ディスカッション)とは異なった方法となる。著書は弁証法について次のように述べている。「弁証法とは、対立した意見の持ち主が対話を行うことによって、互いに、より深い思考に向かっていくための方法であり議論を戦わせる方法でなく、思慮を深める方法と呼ぶべきものです」

こうした一節を読むと、“弁証法的対話”ができるパートナーを一人でも多く持つことが如何に自己を成長させるか通関する。出会いを大切にし自分が相手に取って価値ある人となることは、他に代えがたい大切なことだと痛感する。またこうした「本」との出会いも大切である。本は“著者と自分の知を絡めて新たな自己の知識や知恵を創るもの”だと考えている。しかし弁証法的な読みをしたいが中々難しいのが現実だ。

弁証法的思考法の有効性として「予測」を取り上げている。未来や将来を予測することは難しい。しかし単純化して言えば、社会の発展は「近所付き合い」のようなコミュニケーションを減少させた。結果として「個性化」が重要視された。Web社会はSNSを作り上げ新たなコミュニケーションを創り上げた。こうした「正」「反」「合」を読むことは可能であると本書では述べている。

著者は「“何が消えていったのか”を考える。…..“なぜ消えていったのか”を考える。社会や市場の進歩と発展の「その段階」において「なぜ消えっていったのか」を考えるということです。その「段階」において、なぜ「効率的」でなかったのか。そのこと考えることです。そして、社会や市場の「合理化」と「効率化」の流れの中で、「何が消えていったのか」「なぜ消えていったのか」が分かり、「何か復活してくるか」がわかったならば最後に何を考えるか。どうすれば「復活」できるか、を考える」

日常の中でこうしたことを考え続けるは難しいのかも知れない。しかし“なぜ復活したのか”や“なぜ注目されるのか”を考察することは比較的容易かもしれない。日々実践したいと思う。感慨深い一冊だった。

 

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