40歳からの知的生産術 (ちくま新書)

 40歳からという題名であるが、年齢にこだわりを持つ必要無さそうに思う。知的生活や知的生産といった切り口の本は多い。良く“年間○○冊読む知的..という本も見かける。最近ではノートの使い方などと言ったものもある。あまり面白くない物多いのだが、書店に平積みされているとつい購入してしまう。結局、しばらく棚に置いておく。自堕落になったときが出番である。

 目次を無視して本書を分類すると(1) 時間 (2)知の蓄積=ファイリング、読書 (3)クリエティブ=セレンディテピティといった切り口で論じている。知識人で教育者ある著者らしい創造的に知的生産の方法論である。その理由は日頃から学部生に知的生活の思いを発信しているからで、年齢に…とい答えはそこにある。

時間軸について

 前期したように様々なカテゴリーで論じているのだが今回は時間について紹介したい。
 何事も短期、長期の視点での考察が求められるのは言うまでもない。経営は特にその視点が重要である。少し長いが著書の言葉を引用してみる

時間軸 <1>  短期と長期
時間軸 <2>  過去・現在・未来
 
全社は短期的な視野と長期的な視野で異なる結論に達するケースである。例は悪いがこの場で落ち着くためにドラッグやタバコを摂取する行為は、短期的な快楽が長期的利益にまさっていると考えられるケースで、この人にとっては短期的な利益が行動の基準として採用されたわけである。昨今の『現在の福祉』かそれとも『長期的な国の財政』かという議論なども同じような例である。…….残念ながら長期的視点の意見は耳に痛く、短期的なそれは耳に快いことが多い。…..長期の哲学を開示する側は、選挙で負ける可能性が高くなり、それはとりもなおさず国民の質がそうさせているのである

 これは“自己”という世界と“企業”という枠組みでもどうように考えることができる。自己について言えば、日々の研鑽が将来の創造を可能にする。そうなることで始めて“利他”を可能とする自己ができる。企業は“存続が使命”である。一時的にすぎない収益を過上に分配することは、大きな目的を可能とする企業を構築することはできない。本書の文脈はこのように読み取ることができる。

スタンダードな自己研鑽がすべての基礎であることを本書は教示してくれる。学び、経営ともに王道はこうしたスタンダードにあるように感じてならない。

 

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