山行日誌  硫黄岳 (3)

On 2011年2月14日, in life Style, by admin

アイゼンを頼りに登るが山頂へ出るには“岩”を超えなければならない。秋に行ったときも【コワゴワ】進んだ岩である。大きな岩を、両手を使って超えていく。そのつかむ岩が雪に覆われている。何とか進んだのだが途中ルートを誤った。本来岩を巻いて進むのを岩の上へ出てしまった。もう前に進むことはできない。方向転換も困難であった。バディは致し方なく岩を飛び降りる。結果として2番目に飛び降りることになる。高さは2メートルを超える。着地時に転ぶことはピッケルが飾りでは無くなるということだ。怖がるのもみっともない。意を決し何となんとか飛び降りた。
ここが最後の難所となり頂上へ到着。秋に見た硫黄岳のティラミスは全く見えない。穂高も赤岳も何もかも。

そもそも見ている余裕などといのが本音である。ケルンに“タッチ”し下山となる。

 私が後ろを歩きながら稜線を降り始める。なにやら右へずれる。このとき彼の眼鏡が曇り、前が見えなくなっていたのだ。曇ではない。眼鏡が凍っているのである。あのとき声が聞こえて良かったとつくづく思う。何とか樹林帯の入口までたどり着いた。これから4時間以上の下山が続くのだが安堵感で心は溢れている。しかし樹林帯下山しながら何度も躓く。足が疲れている証だ。鍛えなければと思いながらも足早に下山した。

 出立した赤岳鉱泉に着き時計を確認した。不思議なことにオーバータイムではなかった。十分想定の範囲内であった。休憩は取ったものの途中足を止めなかったことが幸いしたかのか。ここで朝入れてお湯を初めて口にした。マイナス10℃を越えていることもあり一揆に下山することとした。

 こうなるとおかしなもので“もう下山するのか”という寂し気分になる。すでにあの稜線の悲劇を失念しているかのうようだ。互いにそんな気分なのか。もしかすると明日からの仕事を思い出しているのかもしれない。雑談もそこそこに2時間程歩いた。コースタイムより相当早くバス停に到着した。バス停の脇にある山小屋に温泉がある。バスの時間まで1時間程あるので冷え切った体を温泉で温め帰路に着くこととした。

 ここで左手の指先と足の指がなにやらしびれていることに気づいた。温めれば治るかと思ったが今日現在も完治していない。ネットで調べたのだがどうやら凍傷らしい。バディは足の爪を切ったら親指の爪が割れたらしい。これも凍傷なのだろうか。そんな戦いのような山行であったが次回の予定を組ながらあずさに乗り帰宅した。

 思い出深い山行であることは間違いない。

 

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