京セラ名誉会長、JAL会長である著者が【働く】ということについて哲学を示した一冊。私自身、著者の言葉に幾度と無く助けられた。いまでも指針としている。
“誰にも負けない努力”ということを著者はことあるごとに述べる。過去の自分と比較して頑張っているか否かで良いはずがない。尊敬するような人物の行動と比較したとき努力が勝るから否かが目安なのではないだろうか。こうした思いを現実化させたとき、納得のうえで思いを現実化させられるのではないか。
著者は【願望を潜在意識に浸透させる】ことが思いを実現させるには重要であると述べている。
「漠然と思うのではなく、「何がなんでもこうありたい」「必ずこうでなくてはならない」といった、強い思いに裏打ちされた願望、夢でなければならないのです。寝食を忘れるほどに強く思い続け、一日中、そのことばかりをひたすら繰り返し考え続けていくと、その思いは次第に「潜在意識」にまで浸透していきます。「潜在意識」とは自覚されないまま、その人の奥深く潜んでいるような意識のことです。普段は表に出てきませんが、思いもかけないとき、またいざというときに現れて、計り知れない力を発揮します」
自己啓発にはよくある言葉である。誰でも“なりたい自分”になりたい。私はそこに“公共善”が存在することが重要だと思っている。自己の欲が成り立つために周囲を不幸にするのならその思いは成し遂げられてはならないからである。その判断基準は普遍化が可能でなければならない。唯我独尊的は論外であろう。公共善は倫理。あるべき姿がここに帰結していること。これがすべての始まりではないだろうか。
次にいくつかのステップが求められる。例えば職業としたいときの資格試験は合格することが目的ではない。合格したうえで何を成し遂げるかが目的であるはずだ。起業もどうようである。そのステップを明確にプラニングし潜在意識に落とし込まなければならないのである。“思い”をロジカルシンキングに変換する。そのうえで潜在意識にするこませることが大切ではないだろうかと私は考える。