デフレの正体 経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21)
この本実に思い白い。視点の置き方、解説など等、色々な書店で平積みされている理由がよくわかる。論文ではない。一般を対象とした経済書だ。解説上手な「池上彰氏」の推薦が納得出来る。
本書の大きいなテーマは「好景気をなぜ実感できなかったか」にある。2002年2月~2007年10月まで69ヶ月に及んだ『いざなみ景気』を我々一般は実感できなかった。少しこの時期を振り返って見たい。
2002年 小泉首相・北朝鮮訪問・拉致被害者 5人 帰国
2003年 SARS 日本郵政公社発足 衆議院選挙 小泉内閣 安定多数確保
2004年 製造業への人材派遣解禁 新潟中越沖地震 代議士年金未納問題発覚
2005年 原油価格高騰 北京:反日1万人デモ・日本大使館襲撃 京都議定書発効
2006年 安倍内閣発足 胡錦濤国家主席首脳会談 ホリエモン逮捕
2007年 スマトラ地震 リスボン条約 韓国:李明博就任
2001年ITバブル崩壊、住宅バブル崩壊の前兆が2005年頃から見え隠れする。こんな米国の背景もある。東アジアは中国が凄まじい勢いで成長を成す。賛同は得られないかと思うが、堀江の逮捕に至っては“また出る杭は打たれる文化”かとさえ感じた。どちらかと言うと『メンタル的問題』によって好景気を感じられないのではないかと。この顕著な例が数ヶ月後の『秋葉原通り魔事件・2008年6月』ではないかと考えていた。言ってみれば他国の成長を横目に妬み、国内はネガティブキャンペーンがはられているようにさえ感じられた。
著者はメンタルから捉えた私の視点やマクロ経済から分析する経済学者の視点違った視点から問題を捉えた。GDPは成長した。しかし実感はまるでないということである。
『生産年齢人口=消費者人口の減少 → 供給能力過剰 → 在庫積み上がりと価格競争 → 在庫時価の低下』
これらが要因であると分析をしている。本書を読んだ後現場の声を実際に聞いてみた。飲食店を中心としたヒアリングで次のような結果を得られた。
消費者人口の減少を ① 高齢化による消費量の減少 ② 顧客数の減少 ③ 天気など環境で変化などの点があげられた。天候による左右は高齢化にともない寒暖の差で出かけないということだ。消費が減少すれば在庫時価低下まで一直線に進む。結果として雇用も創出されない。
著者は『率』でなく『実数』で論が進んでいく。分母が変化することや悪化している現状に対して前年同月比で比較してもあまり意味がないと述べている。これには共感できる。本論で軸となる生産者年齢は15歳~64歳は幅が広すぎる。少し人口調査票(総務省発表)をもとに20歳~60歳の人口数を調べてみた。結果としてフルスピードで減少することが明らかとなった。
資料を作成しながらの拝読は実に身になる。時間との兼ね合いがあるが出来る限り続けたいと思う。本書書評については改めて記載したい。