著者は在中国日本大使館公使(広報文化センター長・2007年~09年)であった。本書は外交官である著者が“中国をどのように感じたか”について述べられている。
この間国内は安倍、福田、麻生、鳩山とこの間4人の首相に変わる不安定な政治体制にあった。中国はBRICsの台頭、08年北京オリンピック、リーマンショクを乗り越え世界経済のアンカーとして未だ著しい成長を遂げる。

 将来の日本に取り“どう中国と向きあうべきか”悩ましい問題だと思う。米国やEUまた他の東アジアと同様に接することは難しいのではないかと思っている。【政経分離】という考え方もあるのかもしれない。しかい例えば山内(2011) は「中国は日本の経済成長にとって重要なパートナーであるが領土と国民の平安を損ねる不当な圧力を甘受するいわれはない。経済利益さえ共産党の国家戦略に従属させがちな中国に生産拠点や原材料を過度に依存することは、日本の外交安全保障をいつも質同然に預けるリスクを冒すことになる」と論じている。これはレアアース問題を端緒考えれば明らかである。最近では言論統制も著しい(2011/1/18 日経 文革依頼の弾圧の声)。こうした背景は失念せずに中国を交流しなければならない。たとえ直接取引が無くとも同様である。

外交官である著者は“中国という国家や人をどのように感じ、将来への軌跡をどのようにつけるべく行動したか”という問題意識のもと本書を拝読した。著者は韓国在日本大使(政治部)を歴任、東アジアエキスパートである。

本書から得られたひとつに日本は「情報発信不足」である。それも政治家や官僚でなく“一般人”にダイレクトに情報を発信するということだ。北京大などの学生が訪日した際のインタビューなどをまとめが掲載されている。結論から言えば日本の印象は極めて良いということだ。誤った日本のイメージが中国に伝聞されているのだ。本書で用いられている世論調査によると【中国人の嫌いな国】① 韓国 ② 日本 【好きな国】① パキスタン ② ロシア ③ 日本となっている。この対比した現象は、政治に惑わされず【日本を伝える】ことで相当解決されるのではないか。北京大などの学生が交流の一環として来日し考え方に変化が見られた事例が数多く述べられている。昨今観光庁が積極的に旅行者を増やそうとしている。これは経済が主たる目的であるが、我々は日本という国民を知ってもらうチャンスであると捉え接することが必要ではないか。さらに、フランスワインをモデルとした地産外消を目指したいものである。

 

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