戦後政治史 石川真澄 山口二郎

On 2010年11月24日, in 書評, 雑感, by admin

戦後政治史 第三版 (岩波新書)

本書を読みながら手元の資料として下記一覧を作成してみた。
黄色くマーキングしたのが戦後内閣一覧となる。1945年ポツダム宣言受諾から65年51代の内閣が形成されている。そのすべてではないにしろ都度閣僚は変わるのであるから長期的視点で政治が形成されているとは思えない。

内   閣   一  覧

自分の経験や記憶に残るは64代田中内閣からである。まだ小学生ではあったが国全体が湧気上がっていたような記憶がある。以降28代の内閣が形成されるのであるが自らの理念を成し遂げられ、その後持続した内閣は中曽根内閣に限られるように思う。小泉内閣の郵政民営化は現時点では結果として棚上げ状況にある。総理大臣のなることが目的化したような内閣などあって欲しくない。

昨日の北朝鮮砲撃と小泉内閣・周辺事態法について考察をしてみる。仮に周辺事態法が成立していなければ日本は極めて難しい立ちばに陥る。本書では成立の流れについて次のように論じている。

『小泉政権は、いわゆる有事法制の整備も実現した。90年代以来アメリカは日本に対して軍事協力を緊密化するうえで、実際に軍事紛争が起こった場合の自衛隊の行動について法制度を整備するよう求めてきた。小泉政権はそれに応え、紛争発生時の地方自治体や民間の協力義務、自衛隊の行動に関する権限等を定めた有事法制を2003年6月に制定した』
結果として本書でも述べているように“平和国家路線の転換”がなされたわけだが、今回のような事態にまったく対応が出来なかったのではないか。この業績は極めて大きいのではないだろうか。

このように本書は戦後政治についてコンパクトではあるが要点をしっかりと抑えた良書である。新聞や雑誌を読むにあったって資料集として手元に置きたい一冊である。著者の考えが背景にあるのは理解できるが史実に忠実に論じられている。共著者の山口教授は2大政党制を望みその可能性のあった民主党応援者の一人であった。しかしそうしたことはまったく感じられない。

戦後政治を理解するうえで必読の一冊だと思う。

 

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