ゴールドマン・サックス研究

On 2010年11月12日, in 書評, by admin

ゴールドマン・サックス研究<世界経済崩壊の真相> 神谷 秀樹

ゴールドマン・サックス研究 (文春新書)

 昨日深夜一気読みの一冊。ゴールドマン・サックスが以前は、如何に素晴らしい企業であったかという話も面白いのだが、著者の経済見通しと危機の捉え方が実に面白い。常日頃私が頂いていることを述べているのである。

このグラフは日本のGDPと債務の変化を表したものである。20年間に渡って国や地方が出してとなり、経済の自律的回復を試みたが効果は上がっていない。しかし最後の出しての存在がなければGDPの更なる下落があったことも事実だろう。しかしこうしたファイナンスは自立を促す手法として限界であることも事実なのだ。著者はこうした現状について次のよう述べている。

『日本経済史をひもとくまでもなく【政府が借金をして大盤振る舞いをしても、経済は伸びず、借金だけ増えた】ということは全く議論の余地がないほど明らかではないか。それでもこうした方策を主張するのはたいがいは不勉強であるか【選挙のため】だけである』

私は『議員自信の失業対策』だと思っている。著者は<ケインズ・シュペンター・下村治―のどれが正しいのか>と経済対策の議論を重ねている。そのなかで慶応大学 小幡先生との議論を用いて次のように述べている。

『先生が理解しているケインズとは、即ち「ボールがゴロゴロ落ちてゆく時に、それを止めようとしても意味がない。落ちるところまでまずは落とせ。しかしそこからリバウンドしないときその呼び水して支出せよ」…まさにポーランド政府がしたことである』

理にかっっている議論である。グローバル化した社会では内需を増やそうにも輸入で補われることから価値は少ないのだ。需要が増えれば国外工場の生産増加が中心となる。為替やTPP、法人税、派遣法などの問題に絡み、経営者は“国内で生産したくとも政府は出て行けと言っているようなものだ”と言った発言が目立つ。またやボード人材も国内に拘っていない。まさにボーダレスになりつつある。
従来とは違った新たな視線で経済を見、自らを考える必要がある。

さまざまなことを教えてくれる一冊であった。

 

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>