研究プラン

On 2010年11月1日, in 組織, by admin

組織論はライフワークとして研究したいと思っている。今行っている研究プランについて掲載して見た。

研究意義 問題意識

本研究は中小企業の存続について問題意識を持ったものである。中小企業庁平成21年度調査概況によると従事者は2.943万人に及び雇用に占める割合は高い。また中小企業白書(2008)では全企業数の99.7%であることが明らかとなっている。
経済、雇用に影響力が高い中小企業であるが、創業後約半数が3年以内に廃業に至る(工業統計など)。倒産は多数の研究がなされている(たとえば戸田1982)。当然のことながら倒産・廃業と資金は深い関係にある。創業3年以内は、信用保証協会、日本政策銀行において十分な支援がなされている。また実務者としての視点、起業コンサルタントの視点から見ると経営戦略やマーケティングに大差はないと思われる。
次にIPOを可能にした企業と成功企業と仮定して、系家者の著作物(20社)などから特徴の抽出化を試みた。その結果これらの企業には次の3点の共通要因が明らからとなった。一つ目に成長以前に右腕人材を要していることである。次に創業者は学生時代に部活動や生徒会のリーダーを行っていた。三つめに成長と組織能力に深く留意していたことが明らかとなった。このようなことから創業期の組織計画は重要であると考えられるが、このような研究はあまりなされていない。
このようなことから【創業期の組織形成】を照射し研究を試みたい。求めるのは、創業期組織形成のPDCAである。

研究テーマの背景

小規模企業にて組織構築が困難な一端には、採用、定着率、教育に難しさがあることは、経験や中小企業庁の調査から明らかとなっている。また経営者は営業や技術の要であり全体を統括する立場である。こうした組織ではIPO企業で見られた【右腕人材】が有効であることは明らかである(たとえば脇坂2003)。研究対象企業は不安定要素が多く、右腕人材また専門人材は縁故採用に頼らざるを得ない。また縁故採用であっても高い離職率を示している。またIPO企業で見られた右腕人材に求められる職務は経営者になりかわるサポートである。サポートにより職務を分担し組織構築がなされるのである。
組織成員は募集、選抜手順の手順を踏み採用される。中小企業勤務者に質的調査を行った結果次の特徴が抽出された。まず、安定性や所得より自己実現に意欲が見出すことができた。次に経営者との距離の難しさがあげられる。第三に離職に対して意識が低いことがあげられる。また自己実現の難しさや経営者との距離が転職に結びついている。以下は勤続期間について調査結果である。中小企業は中途採用にて、補充的に経験者を採用するケースが多い。グラフ(1)は横軸に勤務者数、縦軸に勤続年数を示したものである


ここで明らかなように3社を起点に勤続期間が短くなる。また転職回数が少ない段階は、大手企業と比較されることから実際の採用は困難である。グラフ(1)におけるサンプル数は少ないが、総合人材ニーズ調査 などにおいても同様の傾向を示している。
こうした低い社員定着率が組織知の蓄積を図れないことに結びついていると考察する。また低い組織知は環境適応を困難とし倒産、廃業を高めるとの考えに帰結する。

研究目的

社員定着率には価値観共有が重要であるとの考えから、組織文化についての研究を行ってきた。研究過程にて対象組織勤務者に、転職を繰り返す理由のインタビュー調査を行った。離職の共通原因に、旧職の価値観が棄却できず離職に至るケースが見受けられた。研究結果として、経営者と成員が求める「コト」に違いがあることが明らかとなった。そのうえで成員の価値観やビジョンを引出す表出場のプロトタイプを試みた。ここまでの過程において、創業時の組織構築も経営戦略と同様に起業時から形成することが望ましいと思われる。また“組織学習が価値観共有に影響力を有するのではないか”との着眼を得た。
以上のようなことから【組織学習により価値観の共有が成されるか】を本研究の主たる課題とした。仮に成されるとすれば、どのような組織学習プロセスによるのかを併せて明らかにしたい。これは言葉を換えると組織文化の形成過程である。組織学習論を援用した組織デザインを本研究のテーマと考えている。

研究方法

フェーズ1    文献研究
フェーズ2    デプスインタビュー プロトタイプ(仮説)の形成
フェーズ3   調査方法の検討・調査・プロトタイプの検証と考察
フェーズ4   論文執筆

 

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>