21世紀の自由論   佐々木俊尚

21世紀の自由論―「優しいリアリズム」の時代へ (NHK出版新書 459)
第1章 『いま日本では何がおきているのか』

 本書はリベラルとは何かという問題定義といま我々は社会のために何ができるのかを問いかけたものだ。メデイアの偏向性を感じ自分なりの考えかたを持ちたく、セミナーや書籍を手にしている。本書もそんななかの一冊だ。

 リベラルを反戦・革新的といった捉え方をしている方が多いように思う。だが世界的なリベラルは『〜の自由』を指したものであり反戦ではない。本書ではノルウエーを事例にとり説明し、『人々には生れながらの自由がある。みんなが自分で人生を選択し、自由に生きていくためには、それを妨げるような格差や不公正さを取り除かなければならない』と定義している。
 『保守』は親米、嫌米に分かれるがすくなからず親米保守は、経済成長を果たすため安全保障を米国に依存する立ち位置を認めている。リベラルであってもこれを否定する人は少ないだろう。戦後日本は経済成長を含め米国に大きく依存してきた。依存できた理由に冷戦構造があったがすでに崩壊した。こうしたなか欧米も経済的な歪みを抱え米国は『世界の警察』の立場から退き新たなバランスが構築されてようとしている。
 日本はすべての隣国と領土問題を抱えている。北方領土、竹島、尖閣諸島である。また中国は南シナ海で東アジア諸国と緊張が高まっている。南北朝鮮は言うまでもない。こうした状況下でこれからの日本はどのような基軸で行動を取るかは国家の行く末を左右する。福田政権時のインド洋での給油問題のように政権が変わったら対応ができない。諸外国に関わる法律は決してこのようなことがあってはならない。
 
 本書1章は『いま日本では何がおきているのか』問うている。ここまで日本の置かれている状況を本書のもと簡単に綴ってみた。だが懸念されるのは『簡単に大きく動く世論』ではないかと思う。ワイドショウなどで簡単に投票行動に変化をもたらす『バイアス層』。実際にワイドショウが政権交代の役をほんの一部でも担っているとするなら問題の根は深い。
 
いま日本でおこっていること。バイアス層の拡大ではないだろうか。
 

 

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