世論調査とは何だろうか  岩元裕

世論調査とは何だろうか (岩波新書)

 なぜ調査会社により調査結果が違うのか。統計の正確性が一次データと設計にあることは誰もが知っている。閣僚の靖国参拝や集団的自衛権の世論調査の違いは質問設計や回答者の違いと言っても過言ではない。
 しかしこうした調査は正規分布(中心生限定定理)を描き誤差95%の範囲に入っているとは思えない。その理由の一つにRDD調査があげられる。コンピュータにより電話番号をランダムに抽出して行うこの調査の問題点は回答者の年齢にあると思っていたが、回答者の年齢を限定し複数回電話をすることから、完璧ではないものの解決されているらしい。それよりも朝日新聞から委託されたA調査会社と名乗ると、朝日新聞を嫌う者は電話を切ってしまう。一般に反自民的な読者が多いらしいことから、反政権的な回答が増えるとのことだ。こうしたことも調査方法の問題の一つだと。
 
 さらに質問や回答の偏りは世論調査と何かとさえ思える。本書では集団的自衛権を事例にあげ説明を重ねている。2014/4/7 朝日新聞 集団的自衛権を行使できないほうがよい63% 行使できるほうがよい29% の調査結果を発表した。その一ヶ月後の5/12読売新聞は全面的に使えるほうがよい8%、必要最小限の範囲で使えるほうがよい63%、 使えるようにする必要はない25%との結果発表を行った。 このひと月の間に政治が変わったわけでも、世界情勢に変化があったわけでもない。相互の恣意的な質問と対象者の違いに過ぎないのだ。
 NHKや毎日はこの中間に位置するようだが中間なら良いということもないだろう。またインターネット調査はランダムサンプリングではないことから時間とともに有意義に変化するであろうがいまはまだ難しい。

 こうしたことを踏まえメデイアの世論調査をどう踏まえるか。参考にしないのも方法だが、「統計はうそをつかないが、統計を使う人はうそをつく」この言葉に軸に結果を読み解けばよい。実際にはどの新聞社の調査でも「強い賛成」3割「強い反対」3割なのだ。産経が使った“限定的な行使”となると一気に7割まで変化をする。これは朝日も同様である。

 強い賛否傾向の確認ならば参考にすることができるのだ。メデイア発表に流されない、惑わされない。こうし接することが正常な判断選択を可能にするように思う。朝日新聞は左翼的思想の新聞社ではないとの本を紹介したが、反政府的であるようだ。また産経、読売、日経は政権寄りの記述があった。これを踏まえ反政権的になったときに政治が揺れ動くと見れば良いのだろう。

最後までお読み頂ありがとうございました。
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