経営センスの論理  楠木 建

On 2013年11月10日, in 経営戦略, by admin

経営センスの論理  楠木 建

経営センスの論理 (新潮新書)

著者の作品はストーリーとしての競争戦略を読んで依頼なので久しぶりだ。ストーリー立てた経営企画の大切さを背景に、経営者、戦略、思考などの視点で構成され、ボリュームが不足しがちな新書だが随所に「知」が散りばめられている。経営とイノベーション。すべての経営者がイノベーションを求めているわけではないし、また結果を出せるわけでもない。しかし常に変革を求める姿勢が必要だと痛感している。個人的にはイノベーションは「類推」から創発されるものだと考えている。類推ではあるがサイエンスでなくアートだ。戦略も理論的にはサイエンスであるが、現場に落とすにはアート的発想が必要となる。本書ではスキルとセンスという言葉を用いて語っている。「…スキルとセンスを区別して考える必要がある。アナリシス(分析)とシンセシス(綜合)と言ってもよい。スキルというのはアナリシス的発想の産物だ。組織の中で分業が進む。個別の担当者分野ごとに担当者がいる。そうした人々が担当業務を遂行するために必要となるのがスキルだ。…これに対して戦略の本質はシンセシスにある。スキルをいくら鍛えても、優れた経営者を育てることはできない…」この文脈に同意できる経営者は多いのではないだろうか。起業時や小規模であればスキルが優先される。商品が優れていなければ経営は成立しない。鳥瞰的な視座で自社のスキルを考察する必要がある。当然のことながら“何を”強めるかが重要である。ここにアートやセンスが必要となる。本書では戦略とセンスに関係について優れた戦略ストーリーの本質を見破る行為を連続的に行うことによってセンスが磨かれると述べている。言葉を変えると「知層」の研鑽がセンスを身につけるということになる。これは類推に紐付けることが可能だ。類推は自己の文脈と自己の知から創発される。ひとつの方向性を見いだせたように感じる。

 

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