ドラッカー入門     藤尾伸二

図解で学ぶ ドラッカー入門

ドラッカーはこのブログでも何冊か紹介してきましたが、本書は良質なエッセンスをまとめた一冊だと思います。戦略、組織、マネジメント、目標管理、自己実現、イノベーションと幅広くエッセンスを拾い上げています。

ここでは私の関心事項である、事業戦略について取り上げて見ます。

事業戦略構築の礎をドラッカーは「顧客の創造」だと語っています。本書では「…つまり企業家の行動が市場を開拓するのです…そしてより多くの人たちの欲求に応えることが企業としての貢献であり、役割(使命)なのです」“マーケットに求められる企業”が存続の条件なのだろう。求められる要素を “強み”と換言することができる。そうであるなら事業活動の是非を「儲け」とするなら、これはすでに「エゴ」の領域となる。

中小組織に限って言えばSWOT分析などを使った強みの発見は意外と難しい。なぜなら自社評価にはバイアスがかかりやすいからだ。自己の棚卸しも同じ事。よく自分でも気づかないことを“◯◯な人だよね”などと言われることがある。そんなことからまずは数値を中心に評価するのが望ましいと思う。子供の頃からの通知表をエクセルで並べるイメージだ。忘れていたり気づかなかった意外な強みや弱みが発見できるかも知れない。また第3社(者)の視点を取り入れることがあってもよい。あらゆる手法を使って強みを発見することが大切だ。しかしこことで忘れてならないのは併せて「弱み」を知っておくこと。企業も人一体の中に「強みと弱み」が混ざっているので、弱みを認識しておかないと意外なところで足を引っ張られることがある。

ここでわかった「強み」に徹底的に磨きをかけ「利益」をあげる。ドラッカーは「利益は社会貢献の配当」だと述べている。利益は更なる貢献の投資に役立てる。この循環を生むためには相当な社会貢献が必要となる。企業における戦略は“社会貢献戦略”と置き換えることができそうだ。

余談ですが、最近「企業活動 → 社会貢献活動 → 市民活動・政治活動」という結びつきができるのではないかと考えている。一般に直接的な政治参加は難しい。人口構造の歪か、ワイドショー的動きなどから、本来選ばれるべき政治家が選択されていないではないかと思っている。目の前の現実から「仕方がない」や「利益」に拘り鳥の目で思索がなされてないように思える。ドラッカーの企業活動なら経営という草の根活動から政治活動が可能なのでないかと考え始めた。

社会的な存在意義「何をもってなんのために存在するか」。この意識表明はミッションと呼ばれています。会社の中では経営理念や行動指針などによって見聞きされます。世界最強の社訓(パトリシア・ジョーンズら)によると「…ミッションを明文化したミッション・・ステートメントは、たんなるスローガンではなく、運営面、倫理面、財政面など、企業活動のあらゆる面における道標となるものであり、企業の目標、ビジョン、姿勢、社風、戦略などを端的に表現した宣言文」だと延べています。顧客の創造が「礎」であるならミッションは「核」であるように思える。

ミッションの代表的事例としてジョンソンエンドジョンソンのOur Credo(我が信条)が良く取り上げられる。Our Credoが行動に指針となり反する全ての行動は慎まれるという。浸透しベクトルが一致すればそれは大きな強みとなる。それが文化となれば揺るがず更なる発展にと結びつく。

ここまでこうして書きながら、ぼんやりとしていたものが明らかになってきたように感じる。ドラッカー100回とは言わないが、心に染み込むまで読み込むことが成長の一歩のように感じる。

 

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