日本人は戦略的でないという評価は多い。企業戦略の希薄化も言われている。だがコダックは倒産したがFUJIFILMは見事に業態を転換した。キャノンも同様である。企業は戦略を立てる。戦略との対比にある実行とオペレーションが上手く行かないのではないかとも考える。企業についてはこのように考えるが、政治に戦略がないことは明らかなように見える。法律の枠組の中で選挙を行なうものの、マーケティングを感じることはない。

この平成になって24年、竹下登首相から野田首相まで首相の数は18人。内閣の数は22代となる。要となる財務大臣も約同数。この数字で戦略の構築、実行、オペレーションが困難なことは明らかだ。これから先もこうした傾向が続くのであれば民主主義という制度事態が問題なのだろう。1983年に100兆円だった公債残高は2011年768兆円と膨らんでいる。GDPは2007年をピークに下がり続けている。

経済だけではない。少子化、社会保障、北朝鮮、北方領土、竹島、尖閣諸島、震災復興の対応、原発などこの平成以降にテーマとなった問題で解決がなされたことはあるのだろうか。外交は相手があることだからできないことも多い。しかし少子化、社会保障などは現実を踏まえればきちんとした対策が考えられそうである。まずつぎの3つを明らかにすべきではないかと思う。1つ長い時間軸であり短期的な解決ができないこと。2つめに雇用形態など民間に依頼しなければならないこと。3つめに選挙権者の年齢に歪みがあり正常な民主主義ではないこと。ここまでは行政やメディアで概ね可能だとも思う

まずは、農業個別保証制度と年金を合わせると1件当たりの保障費はどの程度か、など現行制度の不具合を明らかにして欲しい。そうした自国の状況を明らかにした上で、グランドデザインを示すことが望ましいと感じている。グランドデザインは国家としての理念の表明であり、21世紀のビジョンを示し実行可能な戦略を提示しなければならない。

しかし政治に対する信頼感は相当喪失しているのではないか。他国の成功事例などを明らかにしながら示す必要があると思う。前置きが長くなりすぎた。本書のレビューは次回としたい。

 

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