成功と失敗の法則  稲森和夫

On 2011年7月8日, in 書評, 経営者, by admin

「成功」と「失敗」の法則

仕事の成否は何が決めるのか。苦しみから立ち直るには自分となるにはどうしたら良いのか。修羅場をどうくぐり抜けるのか。突き詰めれば己自身の力でしかない。本書にはそうした“生きるすべ”が述べられている。

“試練は魂を磨く絶好の機会”という節がある。

「様々な苦楽を味わい、幸不幸の波に洗われながら、息絶えるその日まで倦まず弛まず一所懸命に生きていく。その日々を磨砂として、人間性を高め、精神を修養し、この世を去っていく。私はこのことよりほかに、人間が生きる目的はないと思うのです。…試練を、そのように絶好の成長の機会としてとらえることができる人、さらには、人生とは心を高めるために与えられた期間であり、魂を磨くための修養の場であると考えられる人、そういう人こそが、限りある人生を、豊かで実り多いものとし、周囲にも素晴らしい幸福をもたらすことができるのです」

“心を高める”ことを目的とするには些か修行が足りない。しかし利他の精神があってこそ生きる意味があるのだと思う。それは物質などではない。心なのだと思う。抽象的になりがちなのだが、“傾聴は器”という言葉に言い表されているようにも感じる。
このような成長を遂げるには“貪欲・怒り・愚痴”の三毒を日々薄めることが大切なのだろう。著者は「人間にはもともと、煩悩の対局に位置する、素晴らしい心根があります。人を助けてあげるとか、他の人のために尽くすことに喜びを覚えるといった美しい心を、誰もが心の中に持っています。しかし煩悩があまりに強すぎると、なかなか表にでないのです。だからこそ、努力して、煩悩を抑えることが必要です。そうすれば、人間の心根にある、美しく優しい心が必ず出てくるはずです」

つまるところ「美しい心」を持てるようになれるか否かが幸せ度を決め手になるのではないだろうか。そのためには物事を正面から見据え成長の為に絶え間ない努力をすることになるのではないだろうか。その努力が煩悩を抑えることを可能とし美しい心へと近づけるのではないか。

美しい心のためには、日々の反省が大切だと本書は述べる。“貪欲・怒り・愚痴”の三毒を抑えることできたのか、利他の心で生きることができたのか、そうしたことを反省することではじめて成長の一歩が踏み出されるのかも知れない。

考え深い一冊だった。

 

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