組織間学習論   松下康夫 彬子

On 2012年9月1日, in 組織, by admin

組織間学習論   松下康夫 彬子

組織間学習論―知識創発のマネジメント

3~4年前に手にした学術書。企業戦略を構築するにヒト、モノ、カネ、情報の観点から考察が必要であり、IT化社会になり、ソフト化されたモノが重要になりそれを創る“ヒト”のウエイトが高まった。本書はヒトの部分を組織間(アウトソーシング)に転換する視点で論じられたものである。アウトソーシングと組織力のバランスの取り方を考えることは実務者として重要である。是非は別としてゼネコンなどは“商品の製作”は概ねアウトソーシングをしている。マンションデベロッパーなどは用地取得の情報とファイナンスが自社の価値であり2~3人で運営している会社もある。どちらにしても軸となる社内力プラスαがアウトソーシングであることは間違いない。

今回本書を手にしたのは“学習”につい前回に続き知識を確認するためである。一般に学習は個人でするものだ。本書では「概念枠組みや解釈方法についても新しく習得し、それ以前のそれらのことを変容、置換、棄却することによって、新しい行動様式を創りだし、実勢に行動し、最終的には自己を変容させることを意味する」と述べている。古い知識に新たな知識を上積みすることで自分を変化させるということになる。変化とは成長を意味するのだろう。

では組織学習はどうとらえているのか「個人学習によって得られた情報や知識は、組織構成員によって相互に共有、評価、統合されるという組織プロセスを経て、組織学習へ置換される。それによって、組織知識が、はじめて形成されることになる。」さらには「個人が、人間性、個人的習慣、あるいは信念を長年にわたって発展させることと同じく、組織もまた、固有の世界観やイデオロギー、あるいは理念を長年にわたり発展させる。そのため、たとえ組織成員の構成が変化しようとも、組織は、組織行動・認識マップ・規範・価値基準などを、その組織記憶のなかに保存し、また組織構成員に伝承していくのである(村田1990)。個人と組織も、知識を媒体として相互作用するとともに相互浸透している」

 個人学習が浸透し組織学習へと展開する。結果として組織特有の暗黙知と形式知が豊富になる。これが行動規範、考え方を創り組織文化となるということに結びつく。ここで問題がある。理念を軸に価値を形成することになるが果たして“浸透までのどの程度の時間を要するのか”どのようなプロセスを得れば浸透は早く深くなるのか。気の合う友人は意外と早く親しくなる。また親類などは長い間離れていてもずっと同様の文脈で対話が可能だったりする。このあたりの独立変数が組織構築に有効であると考えている。

 ライフワークとして学んで行きたいと思っている。

 

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>