日本国はいくら借金できるのか?―国債破綻ドミノ (文春新書)

著者は元中日新聞論説委員であり政府税制調査会専門委員などを歴任。そんな著者がいまの日本を分析した一冊だ。

国債発行の限度が近づきつつあるからなのか。この2~3週間、社会保障費削減の論調が目立つ。消費税増税や公務員経費削減程度ではプライマリーバランスさえ危うい。世論づくりの胎動がはじまったのかも知れない。本書はこうした日本財政危うさを他国や歴史的事実と比較して学習することができる。

まず本書をもとに日本の借金状況について確認したい。OECD予測によると2011年末の対GDP比は217%である。いまさらギリシャではないが同国は165%、イタリア127%、米国97%、英国90%とある。2011年9月末の債務は954兆4180置くである。それに地方債が約200兆円。合計1154兆円となる。これに対して個人金融資産が1471挑円ある。数値的には、あと3兆円超えは国内処理が可能ということを本書は数値として固めた。

復興債や特別会計を加えると本年度予算の赤字幅は約50兆。これを債権で賄うのであるから概ね5~6年ということになる。日本国債の保有は、銀行44.3%、生損保20.5%、公的年金9.7%、年金基金3.8%、海外投資家5.7%、家計4.1%とある。こうした数値元にした著者の試算では、あくまで現状維持であれば5年程度は持つようだ。

 格付会社や所有金融機関の問題、TPP、人口比率などを考えれば残された期間は3年というところか。ここにあげられた本書の数値は概ね公開されているものである。プライマリーバランスの均衡は財政に中立であるだけで赤字が減少するわけではない。国は対外からの信用があってはじめて成り立つ。信用を担保するには、だれが考えても増税による歳入増と社会保障費も含めた歳出削減以外に方法はない。著者はもうひとつの方法として“景気回復”をあげる。ここに知恵を絞ることで解を見出せないかと述べている。それは小泉政権を指す。

イノベーション巻き起こす民力と覚悟を持ったリーダーが歴史的に求められているのではないか。

 

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