当セミナーはいつも楽しみにしている。理由のひとつにスピーカーの見識の深さがある。費用などを考えると大学の研究者で中々難しいのではと思う。それぞれのテーマで30分ずつお話を頂いた。
そのなかでも“ティーパーティ”の話では多くの知見を得た。ティーパーティは前回下院選挙で大きな影響力を示し、民主党の過半数を失わせた。要点は3つ。まずティーパーティとSNS、大統領への思い、小さな政府である。
日本にいても話題の絶えない草の根運動ティーパーティ。そこには“SNS”の秘訣があった。アラブの春よりはるかいぜんに米国ではその力を発揮していたのである。SNSは米国を揺さぶったのである。民主党がこの勢力を見誤ったのか否かは知る由もないが大統領選挙への影響力は図り知れない。
次に大統領への思いだ。オバマ大統領選を勝ち抜いたころ友人が米国へ長期出張をしていた。リーマン・ショック直後にも関わらず熱気に満ち溢れ手いたとのことだ。国民は“成長した民主主義”の喜びを分かち合っていたらしい。こうした思いとは別に、イラク戦争で疲労しオバマを支持した人も多かった。結果としてブッシュ否定というplus票が差を広げたのである。だが表面的には“小さい政府から大きな政府・リベラル”とイデオロギーが転化したように写った。しかし示された資料は20年間以上に渡りイデオロギーは変化していなかった。
ここで得た知見は「小さな政府」へつながる。実際の民主党の見解はわからない。だが大きな信任を得たという自信が“保険制度”などの改革へ結びついていった。このことは“自分のことは自分で”という米国の理念を変えることになる。理念の変化を求めない人仲間は“連邦政府の私生活介入反対”というティーパーティを生み出ていくのである。
政府・州・個人は互いの干渉を否定する。これが文化なのかも知れない。日本文化のバイアス、極めて少ない情報さらには少ない知識。これでは合理的に米国を考えることはできない。2時間のセミナーから数多くの知見を得た。こうした機会を利用しながら対話をできる知識まで自分を高めたい。アウトプット、ブラッシュアップの繰り返しが知層を積み上げて行きたいと思っている。限定合理性の枠を広げることが仕事にも役だって行くに違いない。色々な機会を利用して少しでも自分を高めていきたいと思う。