官僚を国民のために働かせる法 (光文社新書)

著者の本は3冊目となる。本書は前作よりも官僚の実態を暴露したものと言える。どうも官僚組織に問題があるらしいということは普遍化した認識だ。しかしこの問題が解決できると思っている人も少ないのではないだろうか。以前防衛省の方とお話をしたことがある。2年程前なので山田洋行による汚職事件は記憶に新しいところだ。自らの“組織を良い組織”だと述べておられた。事件は一個人の問題であったが歯止めをかけられない組織問題としての認識が無いのは如何なものかと強く感じた。裏を返せば問題意識の欠如とも言える。

 これが端緒に過ぎないとは思えない。官僚は法律の枠組みに縛られ民間のような自由はない。また先例を変えるのが難しい慣習もある。著者はその組織改革をすべく立ち上がったのであるが結果として動かすことができなかった。文中にもあったが管轄大臣は短期間で変わる。ガバナンスは事務次官がトップで構成されていると考えるべきだ。職務権限があっても短期間では適切な判断選択などできようはずはない。されにその情報は官僚から上がってくる。この問題解決の難易度はTPPどころではないだろう。

 著者の『思い』は十分に伝わる本書であるが、内部から風穴をあけることを目的に稼動して頂きたかったと感じる。官僚の実態を知るには良いかもしれない

 

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