急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則 (SB文庫 ク 2-1)

本書を読みマーケティングは社会学だと再認識できる。あたりまえのことなのだが、分析から傾向と対策を考察、アクセス解析やweb分析を繰り返していると失念している時があるように感じる。しかし本書を通じて社会学だと再認識した。

『テイッピング・ポイント』この現象を説いたのが本書だ。『なんらかの感染現象において、すべてが一気に変化する劇的な瞬間』と『テイッピング・ポイント』と読んでいる。ニューヨークでの犯罪減少や地下鉄の安全性改善などを始めとした多数の事例検証をしたうえで一定の結論を出している。

『少数者の法則・影響力・粘り・背景の力』こうしたことが急激な転機『テイッピング・ポイント』に影響を示すという。急激な変化が現れるときは確かにある。たとえば選挙などでもそうした現れをするときがある。小泉旋風や前回衆議院選での民主党大勝などもそうだろう。紙幅の関係から『少数者の法則・影響力・粘り・背景の力』のすべてを紹介することはできないが『粘り』について紹介をしたい。

『粘り』とはあきらめずに『記憶に粘りつかせる』にすぎない。そんな簡単なことかと思われる節もあろうかと思うが『あきらめ』ていることが多いように思う。それが値引きへ直結する原因だ。

『感染力の強い発想やメッセージを注意深く検討してみると、そういった発想やメッセージを粘り強くしている要素が、往々にしてワンダーマンの【金の箱】のような一見すると取るに足らない些細なものであることがわかってくる』

このような前置きをしたうえで学生に破傷風の予防接種を受けさせる情報提示の実例をもとに次のように述べている。

『必要なのは、情報提示の仕方にさりげなく、だが有意義な変更を加えることなのだ。学生たちにまず破傷風菌についての知識を与えなければならない。それに地図と診療時間についての情報が付加されると、パンフレットは抽象的な医療的知識から、実践的かつ個人的な医療アドバイスへと変化する。そしてひとたびアドバイスが実践的かつ個人的なものになると、それは記憶に粘るのである』

“個人的医療アドバイス”とは緩やかな『参加』だと捉えることができる。これをマーケティングに活かすことができればいままでとは違った結果を得られるに違いない。たとえば服を買いに行く。そこでは顧客のコーディネートが展示されている。それは“顧客の発表の場”店づくりへの参加であり、物語の共有だ。コンペにして定期化をすれば未開拓の顧客セグメントとコミュニケーションが成立したと考えることができる。この一連の行為はコーディネートグループとその周辺の記憶に“粘りつく”と考えることが可能だ。

このように本書はマーケティングのヒントが詰まっている。本書を端緒に発想を広げてみるのも一考である。ここでは示さなかったがSNSマーケティングに有効だと思う。

 

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