稲森和夫の実学  稲森 和夫

On 2011年11月17日, in 経営者, by admin

稲盛和夫の実学―経営と会計

ところ所涙が出そうになる一冊。悲しいというのではない。情けないという思いからだ。経営に直接携わってもう20年近くなる。紆余曲折それは色々なことがあった。ただこの間どちらかと言えば晴れ晴れとした気持ちとは距離があった。晴れ晴れとは『少しもわだかまりがなくすっきりとしたさま』だ。その理由は“思考が浅い・思考と行動が不一致”だからである。言葉を変えれば“思い”が足りないということか。

アルファベットを並べたビジネス用語に踊らされてはならない。“プリミティブ”が重要だと常々思ってきた。理念やビジョンが人間力を高め経営を高めるのだと。経営品質協議会の大賞が発表されているがこの賞の授賞社などまさにそのものだ。本書はそうした経営の根幹を気づかせる一冊である。

本書には『経営と会計』という副題がある。別段会計方法などを論じているのでなく会計を通じて『人・生き方』を教えてくれるのである。バブル後の時期に書かれたものであるが未だ新鮮味にあふれるには自らの至らなさと人の根幹はいつまでも変わらないからだと思う。一節を紹介したい

『企業の使命は、自由で創意に富んだ活動によって新たな価値を産み出し、人類社会の進歩発展に貢献することである。このような活動の成果として得られる利益を私は“額に汗して得る利益”と呼び、企業が追求するべき真の利益と考えている。….経営者はあくまで自分の原理原則を堅持し、何が正しいのか、会社の使命とは何かというところから行動をする必要がある』

この一節を自己の文脈に落とせば『原理原則』が何かを日々考えながら行動していると言えるか。社会の公器である会社の使命を念頭においているか。ましてや人類社会の進歩発展に貢献などできていようか。そう思わざる経ない。こうしたこと言葉を“知っていた”それでも行動に移せなかった。その理由、言い訳を言えば限が無い。本書でも『徹する』という言葉で自己に強制する必要性を訴えている。最近『拘り』ということを良く思う。拘ること結果でも過程でも自らが決めたことに徹底して『拘る』。それが成果を得られる唯一の方法ではないかと思っている。

何にしても考え深い一冊だった。素直な気持ちで読むことをお勧めしたい。

 

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