独自性の発見

マーケティング戦略の『バイブル』。決して大げさではない。琴線が溢れている300ページだと思う。経営戦略やマーケティングの企画は記憶からさまざまことを引出す必要がある。さらには引き出した『コト』をほかの『コト』と結びつけ“プラン”を創りだす。本書は“デバイス”であり結びつける接着剤でもあるのだ。

事例検証・ロジカルシンキング・感性から仮設を見出す。本書は事例検証、ロジカルシンキング・感性の全てが詰まっている。弱点は読みながらつい自己の文脈に落とし考えてしまう。中々先へ進めないのが弱点かもしれない。

マーケティングは『突飛』なことを突然やるのでなくセオリーを十分に押させ重ねることが大切だと思う。これは経営戦略も同様だろう。これをあきるほど重ねていると『突飛』なことに出会える。スタンダードをあきれるほど繰り返す。繰り返しを繰り返すことが勝因なのだと考えている。なにか“職人”の修行のようだが『成功の要素』に欠かせないことに間違いない。

これは知識も同様だと思う。マーケティングや戦略における抑えるべき『知識』。これが欠けると実践で学ぶようになる。その結果リスクを膨らませ時間を要することになる。本書にはそんな一面もあるので紹介したい。

『…価格が企業のイメージやマーケティング活動の中心になると、消費者に独自の存在として認識してもらうチャンスが失われる。…価格だけを理由に他社の商品でなくうちの商品を買ってくださいと訴えることになるからだ。』
『つまり販売促進になるのはバーゲン期間だけ。…理由もはっきりしている。バーゲンで購入するのは、ほとんどが以前からの顧客、ブランドのファンだ。ただ安いからというだけで知らないブランドを買う人は多くない。これは事実が証明している。お客は出費を抑えたいから、以前から利用しているなじみのあるブランドが安ければ買う。それだけだ』

こうした“スタンダード戦略”を抑えずに値引き販売をしているケースを多々みる。これを自己の文脈に落としてみたい。最近のことだが冬物の服を見にデパートへ行った。週末の午後なのに人は少ない。その帰りにアウトレットモールへ立ち寄ったのだが人の数はまったく違う。誰でも考えつくことだがアウトレットになければデパートへ戻れば良いだけだ。ここで述べられているようにそのブランドのファンであれば『購入場所が違う』だけにすぎないのだ。

本書はこうしたコンテクストの固まりなのだ。マーケッター・経営者に是非お勧めの一冊である。

 

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