ソーシャルメディア進化論

マーケターは抑えるべき一冊。ソーシャルメディア・マーケティングの概念が実によくわかる。概念を考察する参考文献は学術的なものになることが多い。本書は学術的要素を含むが、実務から乖離することなく実践的に論じられている。また経営者である著書はアーリーステージ到達の難しさも教示してくれている。起業予定者には手本となる一冊だ。

SNSは必然であり無限の可能性を秘めていることはこれまでも論じてきた。「スモール・ワールド(6次以内につながる)」に「住む人」と「住めない人」では受け取る情報の量や質が大きく違うと本書では述べている。私はフェイスブック、ツイッターともに約1年前にアカウントを取得していたものの、最近までほぼ活動をしていなかった。自社の市場環境が変わり重い腰をあげた次第だ。そんな私でも著者と一人(お世話になった大学院客員教授)を介して繋がったのである。まさにスモール・ワールドが実証されたのである。

当社では特にフェイスブックページとグループを企業コミュニティとして活用したいと考えている。そのためには活性化の軸となる顧客が必要だと考えていた。そこでデモ・システムなどを考案していた。本書によれば閲覧者に対し0.2%のサポーターが活性化、繋がりの肝であるようだ。こうした検証を踏まえ“コミュニティ育成プラン”を考えていきたいと思う。企業コミュニティについて著者は次のように述べている。

「遠く離れた両者の距離を縮め、お互いにもっと有機的につながっていこうという試みが、企業コミュニティの施策である。企業コミュニティは企業と消費者が「価値観で共鳴しあう関係構築の場」をつくる。その場所は企業にとって消費者の力を企業活動に活かすことができる場であり、また消費者にとっては、仲間と心地のよい交流の場であると同時に、企業を通して社会につながるための場である。….企業コミュニティは、企業と消費者の隔絶の間にかかる橋となる。企業コミュニティがもたらすもの。それは、市場における対話の復活である」

ミクシィ以外のSNSがこうして普及する以前に、樹海・繋がり・絆をイメージしたマーケティングができないかと考えていた。そのために以前は、社員が顧客を訪問しエスノグラフィー的なことを行なっていた。これからはテストマーケティングを繰り返しSNSの型を創っていく。
その過程で本書は幾度も読み返すことになるだろう。文献に実践を加えレポートに残して行くつもりだ。それがシェアされ顧客が発展すれば良いのだが。

 

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>