小泉政権  内山融

On 2011年10月25日, in 政治・経済, by admin

 

民主党政権に変わり二年が過ぎ、現在の首相は三人目となる。小泉政権以降、安倍、福田、麻生と三人の首相が短期的に変わり政治は極めて混沌としている。小泉政権で言われた劇場型政治は自らにはそぐわないと判断をしたのか、当時と比べて首相の言葉で問題を語られることは数少ない。また政治学研究の領域では小泉政権に関する著書は数多くありそうだが書店で見かけることは数少ない。

日本ではめずらし五年を超える政権が、我々、これからの日本どう影響を及ぼしたのか日本人として検証する必要があると常々思っていた。07年初版(どうも再版がなされてないようだ)の本書と出会うことができて幸せだった。本書は政治学者広く深い知識なかで精緻に小泉政権の分析がなされていると思う。

小泉政権検証の必要性を感じたのは安倍政権での参議院選挙、麻生政権衆議院選、菅政権参議院選挙とあまりにも大きく結果が変動したことによる。社会は年金問題、リーマン・ショック、自虐的沖縄基地問題とそれぞれ社会問題は抱えていた。年金問題は別としても結果の揺れがあまりの大きすぎる。ポピュリズムというよりワイドショー、スポーツ新聞が先導する大衆迎合政治になっているように感じてならない。最近の経団連・米倉会長の発言は政治不信がにじみ出ているように感じる。会長の発言は民主・自民両方に共通した思い出はないのだろうか。
こうしたことは“選挙に勝てる内閣”が党にとって最も大切なことになっているからだろう。政治は十年先の考え判断選択しているようにはとても思えない。TPPとのバーターもない農家戸別補償などその典型的な事例だ。少子高齢化社会が進めば自らの生活保証が厚い政権選択をするのは当然である。先を見据える余裕が無いのだろう。しかし明日のギリシャを我が身と考えればとるべき選択は違うと思う。

前段があまりにもながくなってしまった。小泉政権反論の書籍も併せて読んだのでそのときに本書レビューも併せて書くこととし、小ぶりのまとめてみたい。

小泉政権で印象深いことは多々ある。そのなかでひとつ上げるとするなら私は“経済政策”である。北朝鮮、靖国、米国との関係、郵政選挙、など話題には事欠かないが、未だ
脈々と影響を残しているのは経済政策だと思う。

この基となるのが経済財政諮問会議である。諮問会議は官僚からアジェンダの設定を取り上げ、自民党総務会の力を削ぎ落とした。本書は「諮問会議を政策議論の中心的アリーナとして位置づけるという「場の変更」は相互関連しあう六つの機能を持った。すなわち議題設定の主導権の移動、政策コミュニティの開放、議題の統合、政策決定過程の透明化、首相裁断の場の提供、外部からのアィデア注入である」と述べている。この会議の機能が政策立案と実行を可能にしたと感じている。

 ここで出された「骨太の方針」を本書では紹介している。

「….グローバル化した時代における経済成長の源泉は、労働人口ではなく「知識/知恵」である。「知識/知恵」は、技術革新と「創造的破壊」を通して、効率性の低い部門から効率性や社会的ニーズの高い成長部門へとヒトと資本を移動することにより経済成長を生み出す。資本の移動は、「市場」と「競争」するものを取り除く。そして知恵を出し、努力をしたものが報われる社会を作る。…」

経済政策を取り上げたのはこの“コンセプト”と“格差社会”の関連性に疑問を持っているからだ。大企業内の競争環境は企業により違いもあり普遍化して述べることはできない。しかし8割以上が勤務する中小企業の競争環境は何ら変わっていないと実感している。

申し訳ありませんが些か時間が無くってきたので次回に延期したい….

 

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