経営戦略の教科書  遠藤功

On 2011年8月17日, in 書評, 経営戦略, by admin

経営戦略の教科書 (光文社新書)

これから経営戦略を学ぶには良書だと思う。しかし教科書というには些かボリュームに欠けるのではないか。考察を深める端緒として活用することをお勧めしたい。15講義にはケースが取上げられておりMBA的だとも言える。

経営戦略に正解などない。それは取った戦略が成功したからと言って他の戦略を否定するものではないからだ。だがこの“戦略は適応外”だという確認はすべきだろう。中小企業の文脈に落とせば、ボードである経営者の能力や熱意によって結果は大きく変わる。比重は高いが戦略を立てずに対処療法で持続的な成功を収めた事例を目にしたことはない。どこかで常に歪を抱えているように感じる。少ない経験から言えば“原理原則”は必ずおさえるべきだと思う。その点について本書は次のように解説する。

『……そうした選択肢の中から、自分たちが生みだす「価値を特定」することが必要です。この価値特定こそが経営戦略です。つまり自分たちが「戦う土俵」を見極め、絞り込むことが、厳しい競争だけに打ち勝つためには必要です。「戦う土俵」とは、競争相手と戦う場(バトル・フィールド)と呼び変えても良いかもしれません。どの「土俵」で戦えば、自分たちは持続的な差別化が可能なのかを冷静、かつ客観的に見極めること、数多くの選択肢の中から、自分たちが生み出すべき差別化された価値とは何かを決めることこそが、経営戦略の本質的意義なのです。だからこそ、経営戦略とは経営の「背骨」だということができます。しっかりとした「背骨」があるからこそ、人間はひとり立ちし歩むことができるのです。「背骨」がしっかりとしておらず、グラグラしていたのでは、まっすぐ立つことも、歩くこともできません』

実に的を得た一節だ。カタカナにするとドメインやセグメントなどの言葉が飛び交うが「戦う土俵」という言葉が適切に思う(相撲には強烈に不信感を持つ)。中小企業であれば経営者自信が戦略と戦術を考えなければならない。大枠を如何に精緻な実行ベースに落とすかここまでが責務であろう。そのうえで管理体制を組みPDCAを繰り返すことになる。戦略という言葉が大手企業だけに有効なように捉える中小企業経営者が多いがそうではない。組織が小さいことを考慮し細部までやることが大切なのである。

経営戦略の研究ノートを本書を基に再び作りなおして見ようと思う。

 

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