未来を予見する「5つの法則」

2冊連続で著者のレビューを試みたい。弁証法について述べた著者の作品をレビューしたことがある。同類ではあるが感銘を受ける。未来は予測などできなくとも予見はできる。その方法が5つの法則だと述べている。まず5つの法則を紹介したい。

「螺旋的プロセス」による発展の法則
「否定の否定」による発展の法則
「量から質への転化」による発展の法則
「対立物の相互浸透」による発展の法則
「矛盾の止場」による発展の法則

こうした弁証法による哲学が未来を予見させると著者は述べる。そもそも予見を広辞苑で紐解くと“事がまだ現れない先に、推察によってその事をしること”とある。実際には“知る”ことなどはできようはずもない。しかし動向、流れを“推察”することは可能かも知れない。私は以前シナリオ・プラニングのワークプレイスにて10年後について議論を重ねたことがある。この手法はシェルが実際の行い戦略を立て成功している。予測ではないものの流れが見え隠れするのだ。この手法はアブダクションではあるが何か結びついているように感じるのだ。

5つの法則をレビューするには少し紙幅が足りない。そこで根底にある弁証法について著者の解説を紹介したい。

「思考は、正、反、合のプロセスを通じて深まっていく。正、反、合 による思考の深化です。すなわち弁証法とは正(テーゼ)反(アンチテーゼ)合(ジンテーゼ)というプロセスで思考を深めていく技法です。
わかりやすく言えば、一人が語った意見(正)に対して、もう一人が、その反対の意見(反)を語り、それぞれの意見にもとづく対話を通じて、二人がともに、二つの意見を抱合し、止場した、さらに深い理解(合)に到達するという技法です」

実にわかりやすい解説だと思う。未来予見は政治、経済、また企業内で日々行われる。また就職など将来を選択する機会にもこうした機会を持つことが望ましい。机上で一人行うにはバイアスが掛かり些か難しい。よって対話をつうじてジンテーゼをめざすことになる。“対話相手”が極めて難しいのである。傾聴可能人物であり発展的考え方をする仲間でないとこうした関係は成立しない。また同レベル以上の知識も必要だろう。こうして弁証法を学ぶ時、こうしたことが常に気がかりである。
今回も著者から数多くの教示を受けた。

 

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>