自省録  中曽根康弘

On 2011年7月14日, in 書評, 雑感, by admin

自省録

自省とは「自分の言動を反省する」とある。本書は総理としての言動と行動、その時々の意味が深く語られている。政治家が自らの思いを語る書は多々ある。しかし歴史の中枢長くいた政治家の書は数少なく、貴重な一冊だと思う。

5年に渡る総理在任期間には現JRの国鉄改革、NTTなど歴史に残る偉業も数多い。本書冒頭に小泉総理から引退勧告を発せされたときの様子が生々しく述べられている。橋本総理時代に決められた比例代表永久1位という約束を違える時も話だ。生々しい時間の描写が綴られているの。小泉総理が早々に正解から身を引いた理由はここにあるのかも知れないとさえ思える。

総理という職は歴史の審判を受けると述べられている。この当時の政治家は長きに渡り総理になるために準備をしていたように感じる。消費税を導入した竹下総理、省庁改革を行った橋本総理と偉業をなしてとげている。しかし昨今の状況はとてもそうは感じられない。この数年異常な事態が続いているとさえ思える。

経済問題を優先するものの結果とは程遠い。乗数効果がでないことが明らかになっているにも関わらず繰り返される補正予算。400兆の借金を覗くと1000兆円が残るがあと2年持たない。2014年が分水嶺だろう。こうしたときは中曽根総理のようなグランドデザインを示せる人物が求められると思う。

いまを挟んで時代が大きく転換するのだと思う。自らの足で立てるようになることが自らに与えられた使命であることに違いない。

歴史を感じる一冊だった。

 

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