柳井正 わがドラッカー流経営論
ユニクロ経営者 柳井社長とドラッカーについて綴られた一冊。ドラッカーを経営の指針とする経営者は多い。本書は経営判断の是非をドラッカーが如何に言い当てているかを示している。

日本の経営形態はこの20年で大きく変化した。ユニクロがSPA(自主企画商品)に転換したのが1987年である。それから25年が過ぎた。国内はバブル崩壊、銀行倒産、就職不況、東日本大震災と続く。この間には神戸大震災やオウム事件など暗澹たるでき事も発生している。この間web以外でこれだけ成長したベンチャーはほんのわずかである。中でもユニクロは成長のトップクラスと言える。成功を支えるひとつの要素がドラッカーにあった。常に内省を促し更なる発展を可能にするのが【ドラッカーの言葉】なのである。

ドラッカーに言葉はマーケティング、組織・リーダーシップ、経営戦略へと及ぶ。ドラッカーの言葉を指針に日毎経営をしているわけではない。しかしあるとき“こういうことだったんだ”という気づきを得るという。それは“集中”や“継続”であったりするとのことである。

本書にはとてもここでは書きれない言葉と行動の描写が述べられている。経営者に求められる“アートな能力”に磨きをかけるパワーが詰まっている。本書を読んだ上でドラッカーを読むとまた違った“知との遭遇”を得られるようにも感じる。

柳井社長はドラッカーについて次のように語っている。

「ドラッカーの著書を、ビジネス書や経営の教科書として捉えている人も多いようですが、彼の書いたものは単なるビジネス書ではない。…彼の著書は、なんいために私たちは商売をするのか、企業は社会においてどういう存在なのか、さらには人間の幸せとはいったい何であるのか、といった根源的な部分いまで深く言及しているんです。だから読み方次第では哲学書や人間の生き方指南書にもなりうる。….ほとんどの経営学者は理論でばさばさと切っていくだけで、そこには「人」が存在していない。でもドラッカーの経営理論の中心には「人」がいる。そこがなんといっても彼の著書の一番の魅力なんです」

「人」は社員、経営者、顧客などステークホルダーや構成員のすべてを指す。なんといっても、こうした場では“社会性”が重要となる。利他とも言える。企業は“顧客に認められ”はじめて存在する。企業と社員は相互が必要な関係性を保つことで成立する。こうした関係性をとかく人間は失念する。常に原点を見つめる“コト”が重要であると痛感した。読みなおしを含めとりいそぎドラッカーを手にしたい

 

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