リフレクティブ・マネジャー 一流はつねに内省する (光文社新書)

組織論を学ぶ上で金井教授(神戸大学大学院)の論文や本の拝読は既に20冊をはるかに超えている。また中原准教授(東京大学)は“ラーニングバーの学び”が出会いだったように記憶している。組織と学びが密着していることは言うまでもない。

本書は【リフレクション・内省】と【アクション】をキーワードとしている。“一流は、ここぞという大事な場面では常に内省したうえで、アクションが取れる”これが本書の副題だと述べている。概ねは大企業の課長職が対象である。マイクロビジネスの文脈に紐解くとNO2の存在になるのか。離職率が高く長期雇用が難しいマイクロビジネスである。しかし“勤務者”であることに変わりなく、類推する悩みを抱えていること実証済みである。

新書ではあるが、300ページを有に超え内容が濃いことから的を絞ってレビューしたい。マイクロビジネスでも5人にもなればNO2的な人材が求められる。上下に挟まれサンドイッチ状態である。また指示命令もリーダーを介して行われることが多い。大企業は階層が重ねられるので“連結ピン”「経営の行動科学・R・リッカート」とも呼ばれている。 
この状態を本書では「上層部の指示をしっかり翻訳し、わかりやすい指示にして下に伝えるとともに、工場の様子、技術動向、消費者の志向などをより現場に近い立場から上層部に伝え、場合によってはミドル発の戦略を反映した変革プロジェクトにも従事する」と述べている。これは野中教授の“ミドルアッパーダウン”である。本書もこの状態をもとに論じられている。

ポジションの不足、リストラの問題からか“組織にしがみついている”聞くことが多い。また先日の週刊誌では“過剰転勤”はリストラサインという見出しが載っていた。この状態ではミドアッパーダウン効果は難しいように感じる。マイクロビジネスでも類推する事例があるかと思う。この状況が“内省とアクション”に程多いことは言うまでもない。また“感じる力”が足りないことも考えられる。

しかしマイクロビジネスでは、こうした状況を変化させることは可能だと考える。そのキーワードが理念や価値観させるための“努力と学び”なのである。そのために経営者は日頃から社員のモデルとなる“学びの姿勢”が重要となる。経営者自身の“内省とアクション”は日頃からのこうした行動ではないかと考える。こうした行動が経営者自身を成長させることは言うまでもない。本書でも紹介される“ヴィゴツキーは「発達とはそもそも協同的である」と述べている。学びとは”他者との関わり“なのだ。社員との関わりによって自己が成長しその姿を見て社員も成長することが望ましいと私は考える。

人に良い影響力を持てる自己になることが第一の課題であると考える。学ぶことが多い一冊だった。

 

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