一勝九敗

ユニクロ、柳井社長が「経営に対する考え方」、「試行錯誤の実態」「失敗」について綴った一冊。大変読み応えがあった。題名そのままの実践では今に至ることは考えられない。 
失敗を経験とし次の成功に結びつけているのだ。失敗からの教訓から実に数多くのことを得ている。これは経営者に限ったことではない。社員を含めて失敗から教訓を得ているのである。これが企業成長の一つの側面でもある。本書を通じて星野リゾート 星野佳春社長と似ているように感じた。その一つがロジカルとエモーションの共有である。
星野リゾートの教科書という本(星野社長執筆ではない)からも読み取れるように基本的な経営学を重要視している。これはユニクロにも共通する。またベンチャーキャピタル協会会長の呉氏はワタミ創業時に入社し、マイケルポーターの競争戦略5フォースを徹底して行ったという。実際の経営がロジックだけでは困難なことは明らかである。しかし、第一にロジカル・シンキングを徹底する。その後に人や資金など多様な側面からすりあわせをする。こうした考え方が企業成長には求められるのではないか。少なくとも本書を含めそうしたことを教示する成功した経営者の談は多い。

MBA的教科書にはあまり綴られることは少ないこうした“失敗からの教訓”を本書では次のように述べている。

「この失敗を生かすも殺すも経営姿勢次第である。失敗は誰にとっても嫌なのものだ。目の前につきつけられる結果から目を逸らしたら最後、必ず同じ失敗種類の失敗を繰り返すことになる。失敗は単なる傷ではない、失敗には次につながる成功の芽が潜んでいるものだ。….失敗の経験は身につく学習効果として財産になる」

この言葉は重い。人生や経営は失敗を繰り返す。学習し財産と出来るか否かは本人次第である。その可否は何かと言えば【考え方】なのだと思う。個性や自己の文脈が重要であることは言うまでもない。そうしなければ独特の仮説が描けないからだ。しかし無鉄砲や説得力のないものが論外であることは言うまでもない。自己にも戒めるのであるが、経営という立場は、ややもするとアカウンタビリティを無視しかねない。思いつきを組織に行動させ、結果を得る。という流れになりやすいのである。成否は別として、第3者への説明や意見を聞き入れてないため、見える穴が見えていなことが多い。

言葉を変えると、落とし穴に自らはまるようなものだ。本書は全般を通じてこうした【穴】を見つける方法、塞ぐ方法を教示してくれるのである。

貴重な一冊だと痛感した。

 

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