変革型ミドルのための経営実学―「インテグレーションマネジメント」のすすめ

“変革型ミドル”の定義を明らかにしなければ本書レビューは困難である。著者の言葉を引用すると「経営が分かって実務を行うミドル、経営が分かっているからこそ組織変革の道筋が見え、トップとの積極的なコミュニケーションを図るミドル、経営目標の共有だけではなく、その立案にも自主的に参加しようとする組織人」とある。本書は大企業組織だけでなく中小企業でも大いに参考になるのではないかと考える。むしろ中小企業のほうが複雑な組織でない分効果を得やすいのではないかと思う。

 中小企業経営の文脈に置換すると、こうした視点を持った“右腕人材”がいる企業は成長が早い。こうしたことは数多くの論文からも明らかとなっている。ここでは中小企業の文脈に置換してレニューを進めたい。本書は“鳥の目と虫の目~”と説明がなされている。要するに俯瞰して全体を見る視点と現場からの目線ということになる。どこか当たり前のような気もするが実際これができる組織人は少ない。これを5代閉塞要素として本書ではまとめている。

①   階層思考      指示事項は疑わず要素分解する思考癖
②   取り敢えず思考   一手先しか読まない思考癖(考え方の癖)
③   権威主義      自分自身では考えない思考癖
④   処罰志向責任感   責任とは処罰か辞任という思い込み
⑤   嫉妬容認風土    結果が良かった人の足は当然引っ張るという常識

とある。組織によってはこうしたことが組織文化として根付いている企業もあるのではないだろうか。特に階層志向や嫉妬容認は良く目にする。そもそも階層が高い事が問題なのだが、経営者が自らを高めるために高くすることは多い。こうしたピラミッドは求める組織人材は権威志向が強く他組織で通用しないだろうなと思うことが多い。こうした組織で見られるは“経営者の指示を考察せず実行する”ことが多い。当然経営者の失敗もある。これでは右腕人材になれるはずはない。
嫉妬容認風土はいうまでもない。嫉妬者が自己の存在意義を問うようなケースもある。こうなるとネガティブサイクルが回りだし全体に悪い影響を与え始める。賞罰は誰もが納得が得られるようにすることが大切である。

このように数多くの視点で企業経営を見直させてくれるのが本書である。大手企業のミドルが対象かと思う。しかし自己の文脈に落とすことで多様な発想が生まれる一冊である。

 

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