BBT ビジネス・セレクト4 イノベーションを生みだす力 (BBTビジネス・セレクト)
本書は ① 知識資産 ② イノベーションのパラダイム ③ ポーター賞の3部で構成されている。新書180ページという紙幅から奥深い知を得ることは難しいが知識経営とイノベーションの入口が論じられている。
イノベーションを起こすことが難しいのは明らかである。仮に新たなビジネスモデルを構築できても持続的に寡占化することも困難である。小さな変革を持続的に続けることが企業発展と存続の要素ではないかと考える。本書はこうした考え方を支える知識が詰まっていると思う。
脱コモディティ化
昨今の事業展開はとかくコモディティ化しやすい。これは製造業に限らない。飲食を含めたサービス業や流通なども含む。常に価格競争にさらされていると考える必要がある。コモディティ化の問題解決に経験やコトを売るということが言われている。本書ではスターバックスを例に上げて解説している。
「1カップの値段をコーヒー豆で見ていくと1~2円である。それをパッケージングすると5 円~25円になる。さらにサービスして売ると100 円~200円である。それをスターバックスのように「コーヒー体験」にして売るとどうなるか。250 円から500になるのだ」
経営者に求められるのは、こうした「文脈」を如何に創るかにあると私は考える。顧客に価値を認めてもらうコンセプトを生み出すことが必要なのである。”Willingness To Pay支払意欲を起こさせる事業展開が求められる。こうしたことでもコモディティ化の発生は拒めない。そこで重要なのが“スモールイノベーション”ではないか。
それは日々現場から上がる情報を組織の文脈で解釈し変化をこすことを指す。小規模企業だから可能な経営スタイルである。こうすることでコモディティ化からの脱却が可能になるのではないかと考える。